微妙に差のあるタクシー初乗り料金の謎
上限は660円、下限は600円の初乗り料金。なるべく安いタクシーは見つけたいですね。
残業に終われ、やむなくタクシーで帰宅なんてよくある話。経費として落とせたバブルの頃とは違い、世知辛い今では清算出来ず自腹の人も多いことでしょう。
そんな時、「少しでも安いタクシーに」と考えてしまいませんか? 実際に乗り込むタクシーの初乗り料金を見ていると660円だったり、600円だったり様々。価格破壊が進む日本において「激安タクシーがあれば儲かるのかな」などと妄想するも、そもそもこの初乗り料金っていくらでもいいのか? タクシー業界の謎に迫るべく、『東京乗用旅客自動車協会』さんにお話を聞いてみました。

タクシー業界は、単純に世の中の景気に一番影響を受けやすい業種。不況から抜けつつある日本だが、未だに厳しい業者さんも多いとか。というのも、東京都だけで走っているタクシーはなんと約3万1000台。平成14年の規制緩和を受け新規参入業者が増え、単純に飽和状態になっているというのもタクシー不景気の要因と言えるそう。


そんな中で生き残るにはやはりサービスの充実。「初乗りが安いのもサービスなのでは?」と聞いてみると、初乗り料金にはある秘密があったのです。東京都では、初乗り基本料金は660円と決められ自由に安くするのは600円までが限界。すなわち上限660円、下限600円。やはり極端な価格破壊は許されないのです。しかし、600円以下に設定したい場合、関東運輸局に申請を出し、その申請が通れば可能な場合もあるとか。
厳しい審査にはなるそうだが、現に都内で初乗り500円の業者さんも存在しているそうです。

やはりどの世界でも守るべきものがあり、タクシー業界で言えばきっと「初乗り料金」がそれにあたるのだろう。「安くするのもサービスなのでは……」などという考えは一瞬で吹っ飛んでしまった。ちなみに、深夜料金は上限が「3割増」。しかし結構2割増でやっている方も多いそうなので、深夜はタクシーを選んだほうがお徳かもしれません。
(木南広明)