
「郡」とは何か、まずは図書館で調査。「郡」の誕生は8世紀のこと。国−郡−里、というしくみの中のひとつで、中国の郡県制に由来するそうだが、19世紀生まれの「市」に比べ圧倒的に長い歴史を持つ。
市町村課の担当者に図書館での調査結果を話すと、「私どもでも、それ以上のお答えはできないと思いますが……」と言いながらも調べてくれた。地方自治法259条に定めがあるそうだが、やはり「町村の区域のひとつの単位」という程度の意味しかないらしい。原則的に全ての町村は郡に属しているが、郡内にひとつの町(または村)しかない、そんな所も少なくない。
地方自治法なんて見たことがないので、同省行政管理局の「法令データ提供システム」で調べてみることに。このシステム、法令の調査にはもってこい。「普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする」と、県と市町村の役割はちゃんと書かれていたが、郡の役割はどこにも書いてない。ただ、明治、大正時代には「郡長」というのが実際いたそうで、昔の法律との調整をとる規定がちょっとだけ残っていた。
そんなわけで、現代では「郡」にはあんまり意味がない、というのが今回の結論。筆者宅の住所表示は非常に長いので、意味が薄ければ取ってもらうと助かるのだが……総務省の担当者は「そういう動きはないです」ときっぱり。
最後にトリビアをひとつ。町や村でありながら、「郡」ではない所がある。大島町、八丈町、小笠原村……分かりますか? 伊豆諸島、小笠原諸島の町村だけは、「東京都○○村」というふうに、郡が付かないことになっています。
(R&S)