しずかちゃんのホントの人気の秘訣を探る
他にも「しずちゃんには女友達がいない?」「しずちゃんはステータスに弱い?」といった、しずかちゃんに関する項目や、もちろん他のキャラクターの気になる情報も満載です。
「しずかちゃんってさー、なんであんなに人気があるんだろう? 確かに可愛いし、優しいし……でも、本当はもっと他に何かがあると思うんだ」
と、5歳のムスメが真剣な顔で言う。

どうやら最近、森絵都の『にんきもののひけつ』という児童向けの本を読んでから、「にんきもの」について自分なりに考察しているらしいのだが、確かに、この疑問、ちょっと考えさせられるものがある。

「可愛くて優しい」―十分すぎる要素とはいえ、ともすればつまんない子になってしまう可能性もある。

やっぱり他に何かが? そんなことを考えてるとき発見したのが、最近発行されたばかりの『ドラえもん深読みガイド』(小学館)である。
これは2004年に刊行された隔週発行のドラえもん専門誌『ぼく、ドラえもん』と、その後継誌の『もっと!ドラえもん』に連載されていた「てんコミ探偵団」と「てんコミ探偵団プラス」に新しいテーマを加えて、まとめた本だ。

それぞれのキャラクターについて興味深い考察がなされているが、「しずちゃん」(アニメでは「しずかちゃん」だが、原作上はこの呼び名)についても、やはり知られざる素顔のアレコレが紹介されていた。
誰もが知っているのは、『水戸黄門』の由美かおると、どっこいどっこいの「お風呂好き」ということ、「バイオリンがヘタ」ということぐらいだが、その他に気になるのは「案外冷たい」ということ。
安心しているのび太に対しては、「出来杉さんがいいお話してるのにばかなこといって、じゃましないで」「ウッソー! のび太さんの顔はもっとおもしろい顔よ」「勉強相手としては、のび太さんは適当じゃないのよね」「クラスでいちばんわすれんぼのあんたが? ホホホ」など、暴言のオンパレード。


また、ピアノ教室のキャンプの日取りを1日勘違いして「エヘヘ」と笑い飛ばしたり、習い事のピアノをさぼったり、他人の視線がないところでは下着姿のまま寝転がってアイスキャンディーを食べたりと、結構ドジ&怠惰な面も持っている。
さらに、「ちょ、ちょっと! るす番てだれのこと?」と慌てるのび太に、「もちろんあんたよ。なんでもしてくれるっていったでしょ」と、さらり言ってのけ、スネ夫とスケートに行ってしまうシーンも見られた。

この「人をアゴで使う」態度、どこかで見たような気が……と思っていたら、ふと思い出したのが、『オバケのQ太郎』のQちゃんと、U子さんの関係性。
U子さんの場合、もともと美人でもなく、腕っぷしが強く、暴れん坊だが、部屋の掃除をさせられたり、洗濯をさせられるQちゃんは、いつでもとっても幸せそうなのだ。

一見おしとやかに見えるしずちゃんも、芯はとっても強い女の子。
のび太にそうと意識させず、うまく操縦してくれる存在なのではないだろうか。

可愛く優しく、でもときに大胆で豪快で……その「ギャップ」に、男たちはドキドキ。そして、頭が上がらないのかもしれません。
(田幸和歌子)