公共機関で、子供を「小人」と書くのはなぜ?
スイカや切符では、子供用が「小」と表示されることが多いです。
公共機関や公共施設では、料金表示のところで、「子供」と書かれているのをほとんど見ない。
「小人」もしくは「子ども」「こども」が一般的だ。


「子供」では読みにくいというのがあるだろうが、「小人」とするのはなぜなのだろう?
交通機関ではどんな理由でどんな表記を選んでいるのか聞いてみると……。
「こちらでは『小人』を使っています。おそらく国鉄時代からの継続で、明確な理由やどういった経緯でそうしているかはわかりません」
と、JR東日本の広報担当者。
だが、同じJRでも、JR東海に聞いてみると、
「当社では平仮名で、『おとな』『こども』としています。お客様がわかりやすいように、国鉄時代からそうしているんですよ」とのこと。JR内でも統一はされていないようだ。


また、東京メトロの場合は……。
「『こども』としています。旧営団の頃からで、なぜかはっきりはいえませんが、表示担当に確認すると、『おこさまでも読めるものに』ということでは? と言っていました。ちなみに、券売機はピクトグラム(絵文字)でも表示しており、わかりやすいことを第一と考えています」(広報担当者)。

さらに、都営線について、東京都交通局に聞くと、調べた上で、こんな回答をくれた。
「運賃表の表記は、101駅中99駅が『こども』、2駅だけ『小人』としています。
理由はやはり、こどもにも読みやすいよう、平仮名にということではないでしょうか」

調べてみると、思っていたよりも「小人」率は少なく、さらに「小人」を使用しているところにおいても、単に「昔からの慣習・継続」であって、とりたてて理由がないらしい……。

ところで、そもそも「小人」で「こども」と読むの?
『広辞苑 第四版』を見ると、「こども」はやっぱり「子供」と書かれ、「小人」の記述はなかった。
一方、「小人」はというと、読み方が「しょうじん」で「年若い人。少年。こども←→大人(たいじん)」とある。つまり、公共機関で「大人・小人」とあるときは、「たいじん・しょうじん」と読むのが正解だってこと?

あまりに昔に遡るので、残念ながら、真実は藪の中のようです。

(田幸和歌子)