登山が趣味の人にとって海外の名峰は憧れ。富士山より高い山々を制覇するには、日頃から訓練を重ねたエキスパートでなければ難しいと思いがちだ。
しかし東アフリカのタンザニアにあるキリマンジャロは、特別な登山技術を用いずに登れる5000m級の山として有名だという。登山事情を現地タンザニアのダルエスサラームに事務所をかまえる日系旅行会社「JATAツアーズ」でうかがった。

「素人OKといっても、素人だけでの登頂は無理です。少なくともプロの登山ガイドが同行するツアー等への参加は必要になりますが、体力と高地順応さえ上手くいけば、素人でも山頂に立てます。全行程は往復で4泊5日。高山病を防ぐため、そのうち一泊を富士山頂と同程度の標高で、高地順応させる日に当てています。
予算は当社の場合、1名で1,060USドル(約9万円)です」

なるほど。「素人OK!」と言っても日帰り登山ができるほどの気楽さではないのですね。では登山に際して何に気をつけたら良いのだろうか?
「なんと言っても高山病です。頭痛や吐き気がしたら要注意。自分では大丈夫だと思っていても、無理は禁物です。高山病をおしてまで高度を上げようとすると、最悪、後遺症が残ることもあります。
とにかく症状が治まるまで休むか、下山する選択肢も時に必要でしょう。高山病は高度を下げれば治ります。ただし、高山病は普段から訓練を積んでいる人でもかかりますし、逆に素人でまったくならない人もいます。かかってしまったら、あきらめも肝心ですね」

ずばり素人の登頂率はどれくらいなのか? 
「まったくの素人の場合、登頂率は大体3割くらいだと思います。しかし、山岳会の会員だったり、普段から体力づくりをしている方は高い確率で制覇しています。体を慣れさせるため、訪れる前に富士山に練習登山をする方もみえます」

では年齢層はどうか? アフリカまで行くくらいなので、やはり若者が多いのだろうか?
「もちろん若者も多いですが、ここ最近は中高年の方も多いです。
日本での登山ブームを受けて、海外の名峰にも挑戦しようという方が来られます。特に会社を退職し、時間とお金とまだ体力に余裕のある団塊の世代が中心です」

約1週間の休暇が取れれば日本から遠征できるキリマンジャロ。これは征服するしかないですね。
(加藤亨延)