海外でも日本銘柄のビールは一部スーパーや日本食品店で売られている。記者が暮らしているフランスでも「キリン」「アサヒ」「サッポロ」3社の商品が手に入る。
キリンは「一番搾り」、アサヒは「スーパードライ」という看板ブランドを展開しており(前者は独ヴァイヘンシュテファン醸造所、後者はチェコ・スタロップラーメン社、英シェパード・ニーム社で製造)以前のコネタで飲み比べもしてみた。

一方でサッポロは、主力商品の「黒ラベル」ではなくアイルランドのギネス社で製造された熱処理ピルスナータイプの「プレミアムラガー」と、カナダのスリーマン社で造られた2商品が、同じフランス内で売られている。ギネス社は2009年までサッポロが日本での販売権を持っていた相手。スリーマン社はカナダで第3位のビール会社で、2002年からサッポロ商品のOEM生産を開始。その後2006年にサッポロが買収した会社だ。そこで今回、アイルランド製とカナダ製という海外版サッポロ2銘柄を比べてみることにした。

まず外見が違う。アイルランド製は、日本で売られているデザインを踏襲したもので、「サッポロビール」のカタカナ表記も入り日本人に馴染みのある出で立ちになっている。一方でカナダ製は「SAPPORO」のロゴが全面シルバーのバックに描かれており、日本のものとはかなり異なる。いかにも「北米大陸のビール」といった装い。缶の形もアイルランド製は通常の円柱だが、カナダ製は円柱の中央上部を少し膨らませた樽枠のビールジョッキのような形をしている。

容量もアイルランド製の500mlに比べてカナダ製は650mlと一回り大きい。
アルコール度数もアイルランド製は4.7%だがカナダ製は5%。つまりカナダ製は1缶の量も多くアルコール度数も高いのだ。参考のために日本の「サッポロラガービール」も比べると、こちらの度数は5%だった。

グラスに注いでみると、カナダ製は泡立ちが良くアイルランド製により泡がグラス内に残っている時間は長かった。色はほぼ同じ。香りはカナダ製に若干だがフルーティーさを強く感じる。味はカナダ製に厚みがあり、アイルランド製は軽やかできりりとしている。両商品はそれぞれ特徴がありブラインドテイスティングしても分かるくらいの違いがある。両者それぞれの良さはあるが、どちらかと言えばアイルランド製の方が日本で多く好まれるタイプの味に近い気がした。
(加藤亨延)
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