小袋入りふりかけ、6種類入りのアソートパックを買った。

「さけ」、「たらこ」、「のり.たまご」。
基本な感じでどれもいい、うまそう。「鰹みりん焼」に「磯海苔」っていうのも、ご飯がすすみそうな名前だ。どれからいくか、「打順」を考えたくなる。
そして、あとひとつが、「旅行の友」。

……「旅行の友」ォォ?? それは、「旅行の友味」ってことなのか? 香ばしいのか、しょっぱいのか、はたまた甘辛いのか、「旅行の友」的な味の方向はどっちだ。

ちょいレトロ風でありながら、どこかモダンなデザインのパッケージには、「こざかなふりかけ」と書いてあるから、小魚ベースのふりかけなんだろう。

他の5種も気にはなるが、やはりこの“リョコトモ”からいくしかない。食ってみた。
……魚とごまの香ばしさに、海苔の香りも加わって、食欲がわく。少し甘めの味付けで、初めて食べるのに、なんか懐かしい。うまいな、“リョコトモ”。ごちそうさまでした。


おいしくいただいて、ごはんは無事なくなったが、結局これがなぜ「旅行の友」という名の味なのかは、食べても解明されなかった。

製造元の、田中食品株式会社にたずねてみた。
「何味かといえば、書いてありますとおりに、小魚の味ということになりますね」

ふりかけ「旅行の友」の歴史は、実はかなり長い。
誕生は大正時代までさかのぼる。当時の陸・海軍に、同社は漬物を納めていたのだが、その軍の要請で、「持ち運びに便利で栄養価の高い食品を」ともちかけられたのが、きっかけなのだとか。おいしいふりかけは、軍のための食品だったのだ。


こうして誕生したふりかけは好評で、「旅行の友」として、一般流通ということになった。気になるその名称は、
「旅行に持って行くお弁当などに、いつも手軽に使っていただきたいからです」
という意味が込められているほか、もうひとつの理由がある。それは、同社の創業者の奥さんの名前が「トモ」さんだったから。家事と仕事を両立してくれる、奥さんへの感謝の気持ちも、「旅行の“トモ”」という商品名に込められていたのだ。いい話だ。

こんなロングセラー商品だが、味も変わりがないのだろうか。

「そこは、やはり時代時代に合わせて、少しずつ進化させていますね」
たとえば、当初は魚粉、ごま、あおさで作られていたのだが、そこに玉子粒や海苔が加わったりしている。味付けも、調味料の量がかつての半分ぐらいになっているそうだ。

「御飯にかけて ステキにうまい」という当時のキャッチコピーもまたステキな味わいの、このふりかけ。
アソートパックだけでなく、単品の復刻版なども発売中なので、「旅行」にいかずとも、ごはんの友として、パッパッとふりかけちゃってください。
そして、やっぱり「打順」には、毎食悩むわけだが。
(太田サトル)

田中食品(株)HP