そこで、お世話になった感謝の意味も込めて、カセットテープの断末魔!? を見とどけることに。
まずは、大手カセットテープメーカーに現状を聞いてみた。
「当社では現在、ノーマルポジションテープで4品種、販売を致しておりますが、昨今MD、CD-Rやメモリーオーディオをお使いになる方が増えており、カセットテープの需要が大幅に減少していることなどから、10月より1品種(型番URタイプ)に集約をしてまいります。当面はこの品種のみで販売は継続してまいります」とのこと。
カセットテープからの撤退はしないらしいが、やはりテープを取り巻く現状はそうとう厳しそう。
他にも電気店やカー用品店などに、カセットテープの関連商品について聞いてみたが、同じように厳しい状況のようだ。
しかし、アレはどうなのだ? アレとはズバリ、演歌である。
超勝手な思い込みで恐縮なのだが、私は「演歌と言えばカセットテープ」だと思っている。ということで、演歌作品を数多く扱っている株式会社テイチクエンタテインメントに話を伺った。
「ええ。まだまだテープは現役ですよ。確かに年々数は減ってはきていますが、やめるつもりは毛頭ないですね」
おお! やっぱり!
それにしても、なぜ演歌だけはカセットテープが生き残っているのだろう?
(株)テイチクエンタテインメント広報部の担当者がこんなことを教えてくれた。
「演歌を購入される人たちというのは、自分で歌うということを目的で購入される方も多いんですね。歌う練習をする際に、あるフレーズを繰り返し聴くということをするらしいんです。そういった作業は、CDやMDよりもテープのほうがやりやすいんだそうですよ」
確かに、CDやMDでの早送りや巻き戻しをする際、「やりにくい」と思ったことがある。CDやMDの早送りや巻き戻しをする場合、スキップボタンを長押しすることが多い。1数秒前に戻りたいのに、長押ししている時間が1秒かかったりして、なんだかもどかしくなってしまうのだ。
その点、カセットテープの感度は最高。ボタンを押したら即「ガチャガチャ! キュルルル ガシャン!」で完了だ。
「そういう事情もありまして、演歌などではテープの需要はまだあるんですよ。アーティストによってはCDとテープの売り上げの割合が五分五分ということもありますからね、無視できません。コンサート会場での即売会などでカセットテープは非常によく売れますしね」と広報部の担当者。
CDとテープの売り上げ五分五分って……凄いな演歌。
フェードアウトしていくテープの断末魔をレポートしようと思ったのだが、フェードアウトなんてとんでもない。
(ドープたつま/studio woofoo)
・(株)テイチクエンタテインメントHP