ありがたい話なのだが、友人・知人から色々なイベントのチケットをいただき、たくさんのコンサートや催し物を体験させていただくことが多い。
……のだが、一旦席についてしまうと、なぜかいつも寝てしまう。
眠気が襲ってきて、目が覚めたときにはイベントの大半が終了。あとで「オマエなんか誘わなきゃよかったよ」と、最悪の印象を与えることがある。スイマセン。

だが、なんと万が一寝たとしても許されるクラシックコンサートが存在する。
それが渋谷区の「HAKUJU HALL(白寿ホール)」で開催されている『リクライニング・コンサート・シリーズ』。

このHAKUJU HALL、オープンは5年前。

このホールの親会社は健康家庭用器具を販売している「白寿生科学研究所」。健康をトータルプロデュースしている会社である。そこでは当初から「ゆとりのある時間をとってください」と提唱していたが、「そういう場を提供してしまおう」と、クラシックをお手ごろ価格で体験できる『リクライニング・コンサート』を開催。HAKUJU HALLのオープン当初からの目玉となっている。

このコンサートについて、HAKUJU HALLにお話をお伺いしてみた
「クラシックは堅苦しいイメージがあるので、気軽に楽しめるように考えています。この『リクライニング・コンサート』は1時間休憩なしで行われ、2000円という低料金で超一流の演奏を聴けるお得なシリーズです。

また、クラシックに詳しくない方にもわかりやすいように、“ピアノの日”“ヴァイオリンの日”というようなネーミングにしています」
リクライニング・コンサートは1年間で10公演開演されているが、年間を通してのシリーズ券も販売されている。このシリーズ券の価格は5公演で、おトクな8000円。このシリーズ券には「年に1、2回クラシックを体験するのもいいが、ジムに通うような感覚で、コンサートへ月一回通うことを習慣化してほしい」という思いがある。

またこのコンサート、リラックスしていただけるように、リクライニング・シートを客席に設置(普通席が125席、リクライニング席が90席)。最高の座り心地でクラシックを楽しみ、時には心地よい眠りも。HAKUJU HALLいわく、「客席にリクライニング・シートを使用しているホールは唯一ではないでしょうか?」とのこと。


これは体験してみないと損だと、実際にコンサートを体験しに行ってきた。
周りのお客さんを見てみると、30代くらいであろう会社帰りの方、クラシック好きでおめかしをして来たであろう年配のご夫婦、はたまた気軽に普段着で楽しみに来た方など、本当に様々。客層は相当幅広い。今回、自分は初めてのクラシックコンサート体験なので若干緊張していたのだが、普段着で来るお客さんの姿を見たら、そんな緊張もどこかに吹き飛んでしまった。

会場に入ると、鳥のさえずりの音が流れており、いきなり癒される(笑)。
そして、いよいよコンサートが開演。
ステージには「あなたは聴きますか、それとも眠りますか?」というテロップが流れる。心地よくなって眠たくなった方は寝てもいいですよ、ということ。
そして演奏者の方が登場。事前に曲についての説明をしてくれる。これがまた、絶妙に笑いを交えたトークで、非常になごやかな雰囲気をつくりあげてくれるのだ。
最後には「ゆっくりお休みいただくなり、グッスリ寝ていただくなり、いびきだけは気をつけてお楽しみください(笑)」と、見事なコメントで締める。
まるで前説のような楽曲説明!

いざ演奏が始まると、クラシック初心者の自分でも分かるくらいのレベルの高さ。演奏者のプロフィールを見ると「東京芸術大学を首席で卒業」「日本音楽コンクール・チェロ部門第1位」と、本気で凄いメンバーの方々が演奏している模様。料金2000円だからと言って、演奏に全く手抜きはナシ!

開演して数分後には、目をつむって下を向いてる人、うつむきながら頭がゆらゆらしている人も。「スー、スー」なんて寝息も聞こえ始めてきた。だがこれも、このコンサートでは許される楽しみ方なのである。
試しに目をつむって聴いてみたら、相当キモチいい! 当日は、正直自分も寝不足の状態だったので、このまま夢の世界へ行ってしまいそうだった。
まぁ、自分は夜中まで激務に追われて寝不足だった訳ではなく、夜中まで楽しくお酒を飲んでて寝てねーだけですが……。
結局は眠ることもなく、見事な演奏に引き込まれ1時間シッカリ堪能。お世辞抜きで、相当楽しみました。

当日、自分は通常席だったのだが、終演後にこっそりリクライニング・シートに座ってみると、なるほど半端じゃない座り心地のよさ! この席で、あの演奏を楽しめるのだ。これを“ゆとりのある時間”といわずして何と言う。

この『リクライニング・コンサート』は、癒しを求めて聴きに来る人も、クラシックをしっかり満喫したい人も、両者を満足させてくれる。興味のある方は、是非行ってみてはいかがでしょうか?
(寺西ジャジューカ)