パソコンディスプレイのふちに貼ってあったポスト・イット。

「14:00 飯」と書かれている。


別にいつ食ったっていいじゃねえか、と思ったが、貼った当時は14:00に食べたかったのだろう。

ペリっとはがす。うむ、はがしやすい。さっきまでしっかりくっついていたのに、はがすのはこんなにも簡単。やっぱり便利だなポスト・イットって。

よくよく考えてみると「しっかりくっついているけど、はがれやすい」って凄いことだな。「笑いながら怒る人」みたいだ。

今さらながら気になった。あれって一体どうなってるのだろう?

「ポスト・イットに使われる接着剤はアクリル系の接着剤なのですが、普通の接着剤ではないんです」と語るのは、ポスト・イットを販売している住友スリーエム株式会社の広報担当者。

一般には強力とされるアクリル系の接着剤を使用しているとのことだが、なにやら秘密があるのだとか。

「顕微鏡で見るとわかるのですが、通常の接着剤とは違い、表面がフラットではないんです。表面が球体になっているので、ブツブツとした感じです。
表面が球体ということは、球体の頭の部分だけが接地面と触れるので、簡単にはがれるんです」とのこと。

しかし、このポスト・イット。パソコンディスプレイのふちなどに貼っている場合、はがれ落ちてしまうことがある。このことは、以前、Bitでも触れられていたし、「なんとかならんもんか」と思っていた人も多いのではないだろうか。

実は、そんなトラブルに対応した、より強力な接着能力を持ったポスト・イットというものがある。

その名も「強粘着シリーズ」。

「パソコンのディスプレイのふちなどにポスト・イットを貼られる方は多いかと思うんですが、ディスプレイによっては凹凸があったり、はがれやすかったりするんです。そこで考え出されたのがこの商品です」と住友スリーエム(株)の広報担当者。

なんでも、強力な粘着力を出しつつはがれやすさもキープするのは、非常に難しいらしく、相当な試行錯誤があったんだとか。

「実は、この接着力のコントロールというのは、非常に難しいんですね。今の『強粘着シリーズ』が出来上がるまでに、いくつも製品が作られました」と住友スリーエム(株)の広報担当者。


ちなみに、以前から気になっていたのだが、何故、ポスト・イットには白がないのかも聞いてみた。


「確かに、白いポスト・イットはありません。ポスト・イットは、“気づいてもらう”ということが重要な要素です。書類などは白いものが多いですので、より目立つ色を採用してます」とのこと。

なるほど、そんなことまで考えられていたとは……。

普段、何気なく使っている便利なポスト・イット。あの便利さは、使う人のことを考えて、色々と試行錯誤をした努力の結晶みたいです。
(ドープたつま/studio woofoo)
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