カレーはインドの専売特許ではない。ほかほかご飯に、程よい辛さのルーがかかったカレーライスは、日本人なら週に3回食べても飽きない(?)庶民のソウルフードだ。

お隣韓国にも、日本のカレーと同じようなカレーがある。お湯で温めるレトルト品があったり、時々お母さんが作ってくれたり、キャンプで作ったりするところは同じだが、写真で見ていただくとわかるように、若干何かが違う。そう、黄色いのである。

最近韓国で、ココ壱番屋などのチェーン店を始め、「日本式カレー」を売りにするお店が増え話題となっている。日本と韓国のカレーの差は何なのか、国際理解を深めるべく、日本式カレー専門店を訪れた。
釜山市南区の「タイガータイガー」で、人気のエビフライカレーを注文。
うん、茶色い。
店長に韓国のカレーとの違いを聞くと、「韓国のカレーは水っぽいものが多いですが、当店では日本のカレールーをベースにデミグラスソースなどを加え、コクのあるとろとろのルーにしています」とのこと。
それはまさに、日本人の私も日本で食べた味だった。タイガータイガーのカレーを食べて、「韓国のカレーにはもう戻れない」と話す韓国人のお客さんもいるとのことだ。

ソウル市麻浦区の日本式カレー専門店「三丁目」のカレーも、やはり茶色い。なお、こちらのカレーは辛さが3段階に分かれており、1段階でも結構辛い。

「日本のルーに鶏がらダシなどを加えて、深い味を出しています。最初は日本のカレーと同じマイルドな味だったのですが、『油っこい』という意見をもとに研究し、独自の辛いカレーとしました」と店長。その甲斐もあり、早々に売り切り、お店を閉めることもあるという人気ぶりだとか。
店長は韓国のカレーが黄色い理由について、「韓国ではこれまで、一社の商品が市場をほぼ独占していました。その黄色いルーが、韓国の主流になってしまったのでは」と話してくれた。

茶色くて味の濃い、日本のカレー。
それに対して韓国伝統のカレーは黄色く、水気が多い。
若い人たちは日本のカレーも抵抗なくおいしく食べるが、年配者の中には日本のカレーが濃すぎると違和感を感じる人もいるようだ。
また、つけあわせも違う。日本では福神漬けやラッキョウだが、韓国では当然のようにキムチ。ピクルスやタクワンが出ることも多い。
そして韓国人は、カレーを食べる前に、味が均一になるまでスプーンで思いっきりかき回す。
あ、これは日本式カレーを前にしても同じか。

文化の差というものはまことにおもしろい。
(清水2000)