今年もインフルエンザが流行中の日本列島。
ここ数年、死亡例や新型インフルエンザの報道などから、予防接種を受ける人が増えているという。
中には数十年ぶりに受けた、なんて人もいるはず。
そんなとき、医師や看護師から言われるこんな言葉に、戸惑った人もいるんじゃないだろうか。

「今日、入浴して大丈夫ですよ」
「注射した箇所は揉まないでください(軽く揉んでください)」

昔は「注射した日はお風呂に入っちゃいけない」って言われてたし「注射したとこはよく揉んでください」って言われてた気がする。どうして変わったんだろうか。

まず入浴がOKになった理由を、国立感染症研究所に伺った。
「入浴してはいけなかったころの理由として、昔の日本の家屋に風呂がなく、共同浴場に行っていたことが挙げられます。
衛生上の問題で、接種部位から細菌が入ることを心配されていたようです。その名残で、その後も入浴を控えるよう言われていたのですが、しばらく前からその心配がないと判断され、入浴しても良いとなりました」
『インフルエンザ予防接種ガイドライン2008年度版』(発行:予防接種リサーチセンター)にも“インフルエンザワクチン接種後1時間を経過すれば、入浴は差し支えないと考えられる”って書いてある。もちろん、注射した部分をこすらないことが条件だ。

次に、注射した箇所は揉まないか、軽く揉む程度って言われるようになった理由を別の方に伺った。
「強く揉むと皮下出血の危険があること、また破れた血管からワクチンが急速に拡がって、腫れやしこり、さらにはアナフィラキシー(全身のアレルギー反応)の起こる可能性が考えられるようになったためです。よって、私はあまり揉まないようお伝えしています」(東京都内の医師)
「揉まなくても問題ないですが、軽く揉むと液の吸収がいいとか、揉んだ方が気がまぎれるという心理的な効果を考える医師の方もいらっしゃいます」(予防接種リサーチセンター)

教室に戻ってもずっと腕を揉み続け、注射した日は濡らしたタオルで体を拭いてた昔の僕は、今考えると間違ってたってわけだ。


それと最後にひとつ、勘違いが多そうなことを紹介。それは、今も昔も変わらない「予防接種を受けた日は激しい運動をしないでください」って注意される理由。僕は単純に「予防接種した日に運動すると体調が悪くなりやすいから」だと思ってたけど、そうじゃなかった。
本当の理由は「そもそも過激な運動(大量の飲酒も)は、体調が悪くなりやすいものだから」。運動したあと体調が悪くなったとき、それが運動のせいなのか、予防接種を受けたせいなのか分からなくなると、その後病院へ行ったときにややこしいからだ。

予防接種を受けた日、帰ってから友達と遊ばずに、家でじっとしてた昔の僕は、今考えるとやりすぎだったってわけだ。

(イチカワ)