しかし、口をつくギャグからは加齢臭が漂う一方、「もう、若くない……」と、肩を落とすこともしばしば。
そして、そんな私をつかまえて離さない面白グッズがある。それが、昨年の9月22日から発売されている『おやじギャグカルタ』。このカルタには「課長、かっちょぇぇ~」、「中年だっちゅうねん」、「お金っておっかね~」といった、まさにおやじギャグでしかない読み札が用意されている。
そんな、少なくとも私にとっては心強い商品を開発してくれた株式会社ビバリーに、発売後の反響など含め、話を伺った。
「一昨年、当社から『罰ゲームトランプ』という商品を発売し、1年半で17万個を販売するという好評を得たんです。すると、販売店さんの方から『また違う商品を!』というご要望がありまして。また、その頃、他社メーカーから出たカルタものが、非常によく売れていたんです。当社でも『若い人に買ってもらおう』というコンセプトで商品を考えておりました。元々、カルタものは『犬も歩けば棒に当たる』のような教育関係の類のものが多いので、笑えるカルタを作ろう、ということで製作しました」
ちなみに、このカルタに書かれている秀逸な!? ギャグたちは、誰が考えたのだろうか?
「社内の公募で募り、社員全員で考えました。“おやじギャグ”ですので、おじさんのシチュエーションを想定しながら、若いサラリーマンでも喜べるようなものを選びました。
実施に採用されたギャグの陰には、当然ボツネタもあるわけで、それらを少しご紹介。
まず、「お」のボツネタは「お金を拾って、まーねー」(“マネー”とかけている)。ちなみに、採用されたのは「お金っておっかね~」。やはり、どことなく採用されたものの方がキレがいい(笑)。
他に「し」のボツネタは「シュウマイ、もうおしゅうまい」。採用されたのは「新入社員、いらっしゃいん!」。
「ふ」は、「ふとんがふっとんだ」。採用されたのは「ファンデーション塗らないと不安でしょうがない!」
もう、深刻なまでに採用ネタとボツネタのグレードの差が著しい(笑)。ボツネタがボツになる理由には、「会社でのシチュエーションがイメージできるか?」と「絵として表現するのが難しい」というのがあるとのこと。
これは、とにかく実際に楽しまないと実感がわかない。早速、友人・知人を招集してカルタ大会を開催した。
キレイな声の持ち主であるOL(20代)に読み手になってもらい、4人の20~30代の社会人が取り手となった。
まずはじめに読み上げられたのが、いきなり「洗濯機フライドチキン」。すると、取り手の4人が「洗濯機、洗濯機……」と呟きながら「せ」の絵札を探す姿の滑稽なこと(笑)。
その後も、続々読み上げられる会社風刺ギャグたちが、我々の社会生活を連想させる。「グラマーなプログラマー」が読み上げられたら「く」の絵札を探すのだが、頭の隅っこではグラマーなプログラマーを妄想している自分がいるのだ。すると、絵札にもグラマーなプログラマーが描かれているから、我々の士気も上がる(笑)。
実際に遊んでみて、この『おやじギャグカルタ』には、ある特色があることに気づいた。トランプなどのゲームは全員が楽しめるが、通常のカルタは読み手と取り手に分かれてしまう。取り手だけが楽しいのだ。
しかし、『おやじギャグカルタ』は読み手もゲームに参加できるという点でも画期的。このカルタは、読み手が盛り上がってくれるとゲーム自体も盛り上がる。読み手の読み方が面白いと、ゲーム自体もより面白くなるのだ。
(株)ビバリーには、我々のように実際に遊んだ方々からの反響が届いているそうで、「実際、会社で遊んでいる」「宴会でやりました」という社会人からの声が多いのだが、中にはこんなものも。
「おやじギャグを普段から言っているお父さんにお子さんから、『おやじギャグは、これでもう止めてちょうだい』というひと言とともに贈られたこともあったそうです」
という、悲しいというか、微笑ましいというか、そんな報告もあるそうだ……。
この商品、昨年9月の発売から年末までの3カ月弱で約4万個を売り上げるヒットを記録。年明けも売れ続けており、人気は継続中。ほしくなった方は全国の玩具店、百貨店、量販店などで1575円(税込み)で購入することができる。
思えば、“おやじギャグ”ほどスキルの差が表れるギャグもない。上手い人がやれば、ピリピリした職場の一服の清涼剤にもなり得るが、どうしようもないおやじギャグには苦笑極まりないリアクションしかできない。
“センスのいい”おやじギャグだったら、チャーミングに聞こえることだってある。このカルタでそのあたりのセンスを磨きつつ、職場内で楽しんで連帯感を高めるキッカケにするのもいいのではないでしょうか!?
(寺西ジャジューカ)