先日、元箱根周辺をウロウロしていて、ちょっと気になったことがある。

それは、公衆トイレや施設などの注意書きに、「中国語だけ」あるいは「中国語とハングルだけ」というものが、ところどころで見られたこと。


一般的にメジャーな観光地では、最近では「日本語、英語、中国語、韓国語」と4つぐらい併記されているところが多い気がするが、上記の箱根エリアの中では、大湧谷や早雲山、元箱根あたりでは、「英語」の表記をあまり見かけない。
その代わりに、「中国語」あるいは「中国語とハングル」はどこでも見かけるのだが、さらに不思議なのは、「日本語が書かれていないところもある」ということ。

しかも、トイレの注意書きをよく見ると、日本語では「いつも綺麗にお使いいただきありがとうございます」とあるのに、その下に併記されている中国語は「備え付けの紙以外流さないでください」「生理用品などは備え付けのゴミ箱にお捨てください」「一歩前に出て」といったものなど、日本語とはまったく違う内容が書かれていたりするところもあるのだ。

つまり、併記されていても、内容は別々ということである。
これってなぜなのだろうか。

箱根の観光案内所で尋ねたところ、
「中国語や韓国語の表記が多いのは、中国や韓国のお客様が多いからです。
また、注意書きが中国語や韓国語だけだったり、書いている内容が日本語と違ったりするのは、マナーの違いによるものなんですよ」
という説明があった。

マナーの違いって?
「たとえば、国によっては、水洗トイレで流すという習慣がないところもあるため、『使用後は水を流してください』とか『備え付けの紙以外流さないでください』といった注意書きが必要になることがあります。でも、日本ではそれは常識になっているので、あえて書かずに、省略しているところもあるんですよ」

逆に、日本語では書くが、外国語では書かないものもあるそうで……。
「たとえば、日本ではゴミを捨てていく人が多いので、『ゴミはお持ちかえりください』といったものは、日本語でだけ書いているところがあるはずです」
こうした書き分けは、なんらかのルールがあるわけではなく、あくまで施設管理者などの管理面から出てきているもののよう。

ちなみに、中国人・韓国人観光客が非常に多かった元箱根周辺を離れ、箱根湯本周辺に出ると、今度は欧米人の観光客の姿も多く、また、注意書きにも「英語」が多く見られた。

余談だが、高尾山にのぼると、いつも欧米人を多く見かける一方、アジア人は少ない印象があるのだが、早雲山ですれ違った欧米人はゼロで、かわりにアジア人は非常に多かった。


同じ「山」でも、そして、同じ「箱根」エリアでも、ところ変われば、様々な違いが見られるもので、それに応じて、注意書きの書き分けもされているようです。
(田幸和歌子)