外で過ごすのが気持ちのよい季節になった。この時期、紫外線対策を意識し始める人も多いはず。


ところで紫外線によるダメージと聞いて、何を思い浮かべるだろうか? おそらく、しみ・そばかす・日焼けなど、皮膚に関するものを挙げる人が多いと思う。しかし、紫外線でダメージを受けるのは皮膚だけにあらず。実は「眼」へのダメージも深刻なのだ。

紫外線のダメージは眼に蓄積され、将来の眼病につながる可能性がある。だが、そのことはあまり知られていない。先日、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社が行ったセミナーで、金沢医科大学の佐々木洋教授がおもしろい研究結果を発表した。

北大西洋に浮かぶアイスランドは、夏でも太陽が低い。そのため、直射日光による紫外線はかなりの量になる。にもかかわらず、
「紫外線が影響と思われる眼の病気を患っている人は世界的に見るとかなり少ない」
というのだ。これはなぜか?

まず太陽の高さが低いと、まぶしさを感じやすい。そのため、アイスランドでは必然的にサングラスなどで、まぶしさ対策をする人が多い。これが1つめの理由。
まあ、これはわかりやすい。

だが、理由はほかにもあった。アイスランドに比べて太陽がかなり高いところにある沖縄では、太陽を背にしていても、時間帯によっては正面にいるときと同じレベルの紫外線を浴びているのだという。逆に太陽が低いアイスランドでは、太陽を正面にしたときは沖縄以上の紫外線を浴びるものの、太陽を背にしたときの紫外線量は4分の1程度にまでガクンと減る。

総合的に考えると、常に太陽の方向を向いているわけではないので、アイスランドのほうが眼に浴びる紫外線の絶対量は少ない。しかし、沖縄のように太陽が高いところにある場所では直射日光のまぶしさを感じにくい。そのため、浴びる紫外線の量が多いわりに対策する人が少ない、という現状があるのだ。

まぶしくない太陽でも眼への紫外線対策は重要。ではいったいどんな対策をすればよいのか? まず定番の帽子や日傘。これらは直射光こそ遮ってくれるが、眼は何もしていないときとの5~8割の紫外線を浴びている。ところがそれにサングラスを併用すれば、1割以下にまで激減。かなりの効果がある。


ただ、サングラスといっても形状によっては、顔とのすきまから紫外線が入り込んでしまう。さらに強固にガードするなら、UVカットのコンタクトレンズが効果的だそう。とはいえ、現在のところコンタクトレンズは視力矯正の目的でしか販売されていないため、目が悪くない人は使えないが。

今回の研究を発表した佐々木教授は、
「大学で構内から駐車場へ行くわずか20秒のあいだでも、必ず紫外線対策をする」
と言っていた。やはり、チリもつもればということだろう。

意外におろそかになりがちな眼への紫外線対策。日々の積み重ねが何より大切なようです。
(古屋江美子)
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