最近はインターネットでも申し込めて、便利になっている電報。この前もネットを使って、弔電を花の台紙で送った。


ただ、使っていて腑に落ちないことがひとつ。それは料金設定。
NTTでは、文字数が増えるごとに料金が上がってくシステムになっている。具体的には、慶弔電報だと25字まで693円で、5字増えるたびに94.5円が上乗せされてく仕組み(台紙代は別料金)。だから送った81字の弔電は、文字代だけで1827円かかった。何文字でも、コストは変わらない気がするんだけど……。


最近は字数に関係なく定額の業者が増えている中、どうしてNTTでは字数に応じて料金が上がるんだろう。NTT東日本に話を伺った。

「昔からの従量課金を踏襲しているため、字数によって料金が上がっていく仕組みになっています」
どうやら、昔の仕組みを変えていないだけらしい。今、この料金システムをとっていることに、大きな理由はないのかもしれない。

日本で公衆電報事業が始まったのは、明治2年。東京−横浜間の32キロメートルに593本の電柱が立てられ、通信が行われた。

当初使われていたのは、針が電磁石の力で動いて、円盤に並んだ文字を指す「ブレゲー指字機」っていう電信機。送信側が電流を送ると、受信側にある機械の針が、指定した文字を指す仕組みだった。このとき大変だったのが受信側で、1人が文字を読み取って、もう1人が毛筆で書き取る作業を、1字ずつやっていた。だから、1分間に4~5文字しか送ることができなかった。
それで、字数が増えると料金が上がるシステムになった。字数が増えれば、それだけ書き起こすのに時間がかかるから、コストがかかるってわけだ。
当初は、電報の字数が1字増えるたびに料金が上がっていた。

その後、通信機の進化やタイプライターの登場、印字の自動化などがあったものの、“字数が増えるごとに料金が上がる”システムは変わらず、約140年経った今も続いている。

この料金設定、これからも変わらないんだろうか?
「現状では変更に着手していません。ただ、時代の流れによっては変わる可能性もあります」
最近まで電報業務を行う企業が少なかったから、価格競争が激しくなく、料金制度を変える必要に迫られていなかったのかもしれない。

NTTの電報は、時間の融通が利くから使い勝手がいい。特に弔電は急なものだから、申し込みが遅くなっても間に合う業者として貴重な存在だ。

サービスがしっかりしている分、全体としてコストはかかるんだろうけど、だからこそ、字数をあまり考えず送れたらと、ワガママな利用者の僕は思うわけです。
(イチカワ)