『忍者レフ』というレフ板を見つけた。説明書によると、ガラスに映った撮影者が消えるとか。
おもしろそうなので、試してみた。

レフ板は被写体に光を当てる道具だが、『忍者レフ』(発売元・よしみカメラ)はそれだけではない。片面はふつうのレフ板のように白だが、もう一方の面は黒になっている。白や銀など光を反射する色でないとレフ板にならない。だが、反射しない黒の面を持っているのがこの製品のミソなのである。

さて、どういうケースに反射しないレフ板が役に立つのか。
撮影のため、都庁の展望台に行った。午後7時を過ぎるとだいぶ外は暗くなる。この状況で夜景を撮ろうとすると、窓ガラスに展望台内の照明が当たり、結果的に撮影者のシルエットが映った写真になってしまう。
そこで『忍者レフ』の出番だ。一眼レフカメラのレンズを同製品の中央の穴に挿入する。すると、直径50センチのレフ板が室内の照明を遮る。
さらに、黒レフなので、撮影者が反射して窓ガラスに映ることがないわけだ。まるで忍者が闇夜に同化して姿を隠すようである。

撮影した写真を見ると、『忍者レフ』を使った場合はキレイに夜景のみが写っていた。その他、電車の窓ガラスからの撮影にも同様な効果が期待できそうだ。
また、前段で説明したようにもう片面は白レフなので、被写体に光を当てる本来のレフ板の役割も果たす。レンズに装着できるので、ひとりでポートレートや花を撮影するとき、光を反射させるのに便利だ。


138グラムと軽くて、折りたたむと20センチまで小さくなるので、持ち運びは問題ない。光をうまく操れる道具は、撮影にとても役立つ。デジタル時代なので画像処理で失敗写真を直すのもいいが、撮影テクを駆使して完成度の高い写真を撮るに越したことはない。そのような撮影テクのひとつとして、『忍者レフ』の両面を使いこなしてみてはどうか。
(羽石竜示)