ある飲食店で。ご主人が奥の席を勧めてくれたりと、いやに自分にだけ優しいことに「??」と思っていたところ、こんな質問をされた。


「奥さん、何月?」

誕生日を聞かれたのかと思ったが、そうではないらしい。
実は自分の場合、別に太っているわけではない(つもり!)のだが、ちょこちょこ妊婦さんに間違われる。
おそらくダボッとしたワンピースやチュニックをよく着ているせいもあるだろうけど……。でも、こういう服って、多くの女性が着てるし、だとしたら、みんなが妊婦さんに見えてもいいではないか。

周囲の女性たちに聞いてみると、こんな声が聞かれた。
「子どもを連れてて、妊婦さんに見られるなら、別にいいじゃないですか!?(怒) 私なんて結婚もしてないのに、妊婦に見られますよ!!」
ちなみに、彼女の場合、ものすごく華奢な体つきだが、やっぱり「ワンピース好き」。

他にも、「間違えられる」と言う女性はかなり多かったが、ホッとしたのはその条件が「太っている」というよりは、「ワンピースをよく着ている」という、ファッションにありそうだったこと。

さらに気になるのは、その対処法だ。
どんな返しをするもの?
「ある程度つきあいがある人に『おめでた?』とか聞かれたら、否定するけど、お店の人とか、二度と会わない相手には、めんどうくさいから適当に合わせる」
「最初の頃は妊婦と間違えられると傷ついたけど、もう慣れた」
「否定すると、相手が慌てて、やたらと気を遣うのが嫌なので、その場はなんとなく話を合わせておく。そのうち、いつまで経っても(子どもが)出てこないことに気づくと思うから」
「間違えられたら、その場は適当に流して、次に会うときに体のラインがきちんと出る服を着ていくようにする。黙って相手にプレッシャーをかける」
「電車で席を譲られたときなど、それはそれでラッキーと前向きに考えることにした」

その一方で、頭の下がる、こんなストイックな声も。
「間違えられるのも嫌だし、ゆるい服を着てるとたるむから、いいトシになってからはできるだけ体のラインが出る服を頑張って着てる」

ちなみに、直接聞いてくる人はまだ良いとして、周りの人に聞くというパターンもあるそうで……。

「友人はよく妊婦と間違えられる。本人に直接聞けば良いのに、なぜかいつも友人の私が後でこっそり聞かれる。彼女、もう8年ぐらいずっと妊娠中になるよ」

ところで、ワンピースやチュニックを着るだけで、誰もが間違えられるというわけでもない。
この違いって? 間違えられないようにするには? 女性ファッション誌のライターさんに聞くと……。
「ワンピースでも、ウェストマークがあるものとか、太って見えないラインのものを選ぶのが1つ。羽織ものでメリハリをつけるのも良いでしょう。
特に、胸が比較的ある人の場合は、ダボッとした服は胸のラインで落ちてしまうので、妊婦さんに見えやすいです。それと、ヒールのないぺたんこ靴を合わせちゃダメ」

間違えたほうも、間違えられたほうも、気まずい「ワンピース&チュニック」ファッション。
そもそも若い人は可愛く着られるけど、大人のファッションじゃない……という声もあるなかで、それでもやっぱり楽チンだから、やめられない……という人、多いです。
(田幸和歌子)