「490円でも味噌汁はつかない」世知辛い世の中だが、近年は、激安弁当が続々登場している。

そんな中でも、とりわけシンプルで安く、飽きのこない「のり弁」。
ただし、実はかなり高カロリーだということをご存じだろうか。

コンビニや弁当屋のカロリー表示を見ると、たいてい800~900キロカロリー! 何店舗かで見てみたが、意外にも唐揚げ弁当やとんかつ弁当よりも高カロリーだった。

弁当自体は小ぶりなのに、なぜなのか。理学博士・健康医科学博士・栄養士で、『あなたの年収を3倍にする料理のパワー』(総合法令出版)の著者・臼井由妃さんに聞いた。

「コンビニ業者さんに聞いたのですが、のり弁はお弁当の中でいちばん売れるそうです。最近はギュウギュウに詰めこんだ『でか弁』がよく売れる傾向があるのですが、のり弁はボリュームたっぷりで、安いのがポイント。
また、お昼に食べることの多いお弁当ですよね? お昼だったらエネルギーが多めでもそんなに気にならないこと。揚げ物が主流で、腹もちが良いのも人気の理由のようです」

それにしても、なぜこんなに高カロリーに?
「ご飯の量が多いことがいちばんの理由ですね。一般に、ご飯茶碗軽く1杯分で、180キロカロリーですが、お弁当の場合、ごはんが250グラムくらいあり、これは2膳半くらいの量なんですよ。つまり、ご飯だけで500キロカロリー近くあります。さらに、のり弁の定番・唐揚げと白身魚のフライをのせたら、自動的に800~900キロカロリーにはなります。のっているものの数がシンプルとはいえ、揚げ物だけで、あとは彩り程度に漬物があるくらいですからね」

小さく見えて、侮れないカロリー。
でも、「のり弁を買う人の理由は『安くて腹もちが良いこと』ですよね。目的がもともと違います。栄養バランスを考えるなら、幕の内のほうが良いでしょうけど、幕の内でも700~800キロカロリーにはなりますよ」と臼井さん。

お弁当のご飯は250グラムくらいが主流で、さらにデリバリーのお弁当では、フライが入っていると1200キロカロリーぐらいになることも多いそうだ。
「もともとお弁当は、男の人が食べることを考えて設定しているものが多いんです。1食分で、男の人の1日分のカロリーの半分くらいをまかなえるようになっています」

そんな中でも、小さい器に揚げ物とご飯をたっぷり詰め込んだ「のり弁」。
そもそも、なぜ揚げ物ばかりかというと、価格設定によるところが大きいのだそうだ。
「揚げ物は煮物などより手をかけず、安く作れるうえ、ボリュームがあって腹もちします。実は、お弁当屋さんで最初の基準として価格設定されるのも『のり弁』。見せ方など、いちばん力を入れるのも『のり弁』なんですよ。買う側と作る側の利害関係が一致したお弁当なんです」

のり弁を「小さい」と感じるのは、濃い味付けの揚げ物と、段々に敷かれたのり・かつおぶし・醤油などで、ご飯がスイスイ進んでしまうから。

無意識に、かなりの量を食べてるんです。

(田幸和歌子)