特にわかりやすいのが、子どもたちが眠りにつくシーン。昔はよく、目が不自然に動いてしまう子が多かったように思うのだが、今はごく自然で、本当に眠っているように見える。
これは、私が個人的に感じていることなのだろうか?! そもそも子役の子どもたちは、眠るシーンといった細かいところまでレッスンしているのだろうか? いろいろ気になってきた……。
そこで、清史郎くんも所属している、レッスン重視の「劇団ひまわり」に問い合わせ、俳優養成所・所長の福島靖夫さんにお話をうかがった。
俳優、特に子役の生徒たちに「眠るシーン」のレッスンはあるのでしょうか?
すると、「もちろんあります。日常で人間がやっている、泣く、怒る、笑う、眠る、といった行動を自然に演じることができるように、レッスンを行っています」と、福島さん。
「笑う」や「泣く」と同様、「眠る」もちゃんとレッスンされているのだ。さらに、どれくらいの割合でレッスンしているのかも尋ねてみると、「私どもでは、演技、ダンス、歌や、日本舞踊、所作などのレッスンを行っていますが、演技のレッスンの占める割合はかなり多いですね。その中に『眠る』なども含まれます」とのこと。
やはりしっかりとレッスンした上で、自然な「眠るシーン」も演じられるようになるのだろう。でも、昔よりも今の子どもたちのほうが、さらに上手になっているように感じるのですが……。
「最近の子どもたちはたしかに器用ですし、演技もうまくなっています。それは情報量の多さからきているといえるでしょうね。昔に比べると、生まれたときから音楽にすぐ触れられたり、テレビが観られたりしますから。演技は想像の世界ですので、読んだことや観たことといった、自分の経験が豊富であるほど、想像力を広げやすい。そういう意味では、今の子どもたちは経験も多く、それが演技にも反映されているのでしょう」
なるほど。豊富な経験と想像力によって、器用な子どもが増えているというのは納得できる。そして、子役たちが昔よりも演技がうまくなっているのも、私の思い違いではなかったよう。
これからも大人顔負けの子役たちの演技に、クギづけになりそうです。
(田辺 香)