弁当屋、スーパー、コンビニとどこにでも登場し、お弁当界では定番中の定番である“のり弁当”。

ではのり弁当とはなんぞや、と聞かれると「海苔が乗っているお弁当」と答えるしか無いわけだが、それでは少し曖昧だ。


そこで「のり弁当のスタンダードな形とはなにか」を調べてみることにした。

コンビ二やスーパーで売られているのり弁当は、ご飯の上に海苔、その上に揚げ物とちょっとした煮物が乗ったスタイルが一般的。全体的に茶色に染まったお弁当、それがのり弁当だ。

先日、「『のり弁』は小さいのになぜ高カロリーなのか」という記事があったが、確かにのり弁当は基本が安心価格。さらに揚げ物主体でボリューム満点。
しかしスーパーのお弁当売り場を覗いてみると、その内容は案外お店によって異なる。

特にスーパーにおけるのり弁当は、その地域にあった内容となっているところが多いのだ。
学校が近い店は揚げ物を増やし、ご飯は多めで海苔は少なめ。団地やお年寄りの多い町なら揚げ物を控えめにして、その代わりに焼き魚が入っていることも。

スーパーの方に話を聞くと「スタンダードなメニューなので、欠かさずに置くようにしています。ただし値段を高く設定できないため、決められた中で他店との違いを出すのは難しいですね」と、その構成は簡単ではないと言う。

では全国で見た時、どう変わるのだろうか。
ほっかほっか亭さんにお話を伺った。

「のり弁当を販売開始したのは昭和51年からですね。それから値段も味も、それほど変わっていません。まさに創業当時からの味です」

では全国全て同じ味なのだろうか。
「いえ、地域によっておかかや昆布など、海苔の下に置くものを変えています。さらに関西はこんにゃく、関東はきんぴらと、沿えてある一品も変えてますよ。
事前に味の好みをリサーチし決めています」
と、実はこんな一般的なメニューでも東西で味の違いがあった。
つまり、のり弁当にはスタンダードな形など存在しないということだ。

そんなのり弁当だが、購入するだけでなくもちろん家でも簡単に作ることができる。ご飯に海苔を敷き詰めて、上に揚げ物や煮物をあしらえば完成だ。
家でならどんな贅沢な具材でも思うがまま。海苔の下に豪華な食材をそっと隠してみたり、季節に応じて揚げ物を変えたり……。


先のスーパーでも「時々、季節に応じて煮物を変えたり揚げ物を変えたりすることもあるんですよ。あまり気づかれないですが。中身を自由にできる、おにぎり的な楽しさがあると思います」と、プロアマ問わずに楽しめる弁当といえそう。

この秋にはのり弁当をテーマにした映画も公開されるなど、のり弁ブーム到来の予感だ。

もう少しで秋の行楽シーズンも終わってしまう。その前に、お好みの色に染めた弁当を持って紅葉狩りに出かけてみては。

(のなかなおみ)