「女は化粧なんてしないほうが良いのに」とか「化粧するから肌が荒れるんだ。すっぴんのほうが良いのに」という男性がときどきいる。


こうした発言に「余計なお世話だ!」と憤りを感じたり、「すっぴんに見えてる女性は、化粧が上手いだけだ!」と思ったり、「すっぴんでいられるもんなら、ずっとそうしてるわ!」と思った女性もけっこういるのではないだろうか。

もちろんメイクが大好きな女性もいるだろうけれど、その一方で、女性側の言い分としては「化粧をしないですむならしないけど、すっぴんだと、日焼けや乾燥などが大変なんだ」というのがあると思う。

実際、「化粧しないほうが肌荒れしない」なんてことはあるのだろうか。
『からだ想いさんのうるおい美肌ケア』(アスペクト)著者で、よしき皮膚科クリニック銀座の吉木伸子院長に聞いた。

「そうです。日焼けの問題があるので、化粧はした方が良いのです。化粧で荒れるとしたら、そのやり方に問題があるのです」
ほら! やっぱり化粧はしたほうが良いんじゃないか! 化粧は日焼けから肌を守る大切な役割をしているのだから。

とはいえ、男性は当然化粧をしないし、ゴシゴシ乱暴に顔を洗ったり、何のケアもしないのに、肌が荒れない人が多い気がする。いったいなぜなのか?
もともと男性のほうが、肌が強いということなのか。
「そうですね。男性の肌の方が厚くて丈夫です。ただし、男性のほうが肌がキレイかというと、そうでもありません。
男性はノーケアの人が多いので、乾燥したり、日焼けでシミができたりという人は意外と多いのです。男性の肌をそういう目で見ないので、いろいろできていても、本人もまわりも気にならないだけです」
たとえば、女性の場合、何歳になっても、シワもシミもないツヤツヤお肌はやっぱり美しいけれど、男性の場合、お肌ピチピチの若い男の子の方が、年齢を重ねてシワのある男性よりも必ずしもカッコいいとは言い切れない。つまり、これは「男女の美の基準が違うから」ということだ。

ちなみに、「お肌のために」と女性たちが好んで口にするコラーゲン入りの美容ドリンクや、コラーゲンたっぷりの鶏の手羽先などについて、
「美肌になれるかというと、残念ながら、NOです。食べたコラーゲンがそのまま肌のコラーゲンに変わることはないからです」
と吉木先生。

食べたものは胃腸で分解され、からだのいろんな場所に散らばって栄養になる。コラーゲンも、胃腸で分子の小さいアミノ酸に分解された後、髪や皮膚、骨、脂肪などをつくる原料として使われるのだが、どこにどう分配するかは、からだの複雑なしくみによって決まるのだという。

この他にも女性がたるみ防止でよくやる「表情筋エクササイズ」がシワのもとになるという話など、『からだ想いさんのうるおい美肌ケア』には、肌に関する意外な事実がたっぷり。

乾燥が激しい季節、ケアに悩む人はぜひご一読を。
(田幸和歌子)
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