昨年末のクリスマス商戦でも大人気となっていた、お菓子や料理を作れるオモチャ「クッキングトイ」。
これまで玩具店に行かないと出会えなかったものだが、昨年12月から、書店に並んでいるのをご存じだろうか。


宝島社がタカラトミーと共同開発した「親子のたいやきくん お楽しみBOOK」である。たいやき型とレシピ本がセットになっており、価格も1980円と、一般のクッキングトイに比べ、ずいぶんお手頃なのも嬉しい。

それにしても、なぜこの企画を? 開発を担当した宝島社の河上晋さんに聞いた。
「2009年が『たいやき100周年』ということを知り、たいやきの企画を考えていました。市場を調べるなかで、クッキングトイの『親子のたいやきくん』が売れていることがわかり、たいやきは性別、年齢等、幅広い層に人気があると考え、書店・コンビニで販売することで、さらに幅広い層の方にご購入いただけるのではと思いました」

基本的には、「書店、コンビニで売れるもの」として、そこで売りやすいパッケージイメージなどを考え、一般のクッキングトイとの差別化をはかるうえで、レシピ情報を載せた本が有効と考えたと話す河上さん。
制作のなかで特に苦労した点は?
「食べものを作るキットなので、付録の安全性と品質管理の点は慎重に行いました。新規開発商品のため、予測しづらい面もありましたが、おかげさまで好調をいただいています」

ところで、河上さんは、かつてパソコン雑誌の編集をしていた経験から、雑誌にCD-ROMを先駆けてつけたという人物。
その後、趣味性の高い「鉄道」「世界遺産」「ゴルフ」などの様々なDVDや、「アニメDVD BOX」シリーズなどを手掛け、なかでも「トムとジェリー」のDVDシリーズは累計100万部を突破するベストセラーになっている。

さらに、くるりとユーミンの新譜のシングルCD「シャツを洗えば」を書店で売るなど、従来の書店の枠組みを超えたマルチメディア商品を次々に生み出しているのも、この人だ。

「本が売れない」と言われることも多いが、書店に足を運ぶきっかけとして、また、書店を活気づけてくれる存在として、「本屋で買えるオモチャやCD、バッグ」などの今後の展開に期待したい。
(田幸和歌子)
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