全国各地で見かける日本のコーヒーチェーン店、ドトールコーヒー。お隣韓国には現在、同社の店舗は存在しないのだが、しかしどういうわけか、韓国だけでしか手に入らないペットボトル入りのドトールコーヒーが存在するのである。


210mlボトルのパッケージに、韓国語と日本語で「ドトールコーヒー」と書かれたこの商品は、韓国牛乳業界大手のソウル牛乳が、日本のドトールコーヒーと提携、昨年7月から販売を開始しているものだ。
現在はアイス専用の「カフェラテ」「カフェモカ」「アメリカーノ」、1月下旬に発売したばかりのホット専用商品「ホットブレンド」の計4種がラインナップに並んでおり、韓国のコンビニやスーパーで購入することができる。
なお日本でも、ペットボトルの形で「カフェ・オ・レ」「プレミアムカフェ・ラテ」といったドトールのコーヒーが発売されているが、韓国の商品は、ラインナップもパッケージも全く異なる模様。では、お味の方も韓国限定なのか。

ソウル牛乳の担当者にお話を聞くと、この商品は「韓国人の嗜好に合わせたドトールコーヒー」だという。「韓国人に好まれる、甘くて柔らかい味としています」。

テイストを変えるために、豆の種類は日本の商品とかえてあるものの、ドトールの技術で焙煎したアラビカ種コーヒー豆を輸入し、韓国の工場でドリップ方式により抽出している。
なお韓国のコーヒー飲料市場は、ロブスタ種を用いたインスタントコーヒーが主流で、カップ入りの本格的なコーヒーも最近は増えつつあるが、エスプレッソ抽出によるものが多い。
そんななか韓国版ドトールコーヒーは、「職人気質があり、味に深みのある、ジャパニーズスタイルコーヒー」として、競合商品との差別化が図られているという。

ところでドトールというブランド名は、日本では有名だが、韓国での知名度はどうなのだろうか。担当者に質問すると、「よく知られており、消費者に違和感はないようです」とのこと。
実は1989年から2006年にかけて、韓国にもドトールコーヒーの店舗が登場したことがあり(現在は撤退済み)、また多くの韓国人が日本を訪れ、ドトールの味に触れていることが、その理由のようだ。

なお「ドトール」という言葉は韓国人にとって、宮崎アニメの「トトロ」や、どんぐりを意味する韓国語「トトリ」を連想させることから、かわいらしいイメージがあるそう。同商品が女性に人気を集めるというのも頷ける。

主な購買層は、20代男女の学生と、30代後半の女性。昨年の8月・9月には、1日に10万個が売れるほどの人気だったとか。コーヒー飲料市場1位をめざし、ソウル牛乳では新しい展開を模索中とのことだ。
韓国限定のドトールコーヒー、お土産として日本に持ち帰り、日本の味と比べてみるのも楽しいかもしれません。

(清水2000)