たとえば、歴史上の人物にかかわる有名な出来事・エピソードなどの「年齢」を知ったとき、「○○が△したのって、たった●歳のときだったの!?」などと改めてビックリするというのは、よくあること。
こうしたエピソードや歴史的事件をまとめた本は数多あるが、「年齢」という切り口にしぼってまとめた本を、先日、とあるブックフェアで発見した。
『年齢の事典』(阿部猛著/東京堂出版)だ。
これは、日本の歴史上の人物・現存者をひっくるめて、実績や社会的功績、不幸な出来事などが起こったときの「年齢」ごとにまとめた事典で、約1400人を収録したもの。
類書も近年、他社から数冊出されているが、1999年に刊行された本書は、押しつけがましい格言や教訓・豆知識などを詰め込まず、ただただシンプルに事典として事実を羅列しているところが、読み手を尊重しているようでもあり、潔い。
さて、『年齢の事典』を手にして、まずすることといえば……。やはり自分の現在の年齢を見てみることではないだろうか。
自分の場合、36歳。ページを開くと、さっそく衝撃の事実が目にとびこんできた。
「湯川秀樹 文化勲章を受ける(1943)。わが国最初のノーベル賞(物理学者)受賞者」
「畑正憲 北海道中標津に“ムツゴロウの動物王国”を建設(1971)。クマ・キツネ・タヌキなど動物と人間の共生を実現。『ムツゴロウ』ものの著作多数」
もうあまりに次元が違いすぎる。
「坂上田村麻呂 征夷大将軍となる(797)」
「最澄 天台宗の門宗を承認される(806)」
「足利義満 金閣をつくる(1397)」
教科書でおなじみの人たちの偉業を目にし、自分のことは棚にあげて、ハッパをかけたい思いに駆られたが、同じ40歳の「衣笠祥雄 プロ野球選手を引退(1987)」を見て、「あのときの衣笠と同い年!?」と驚いたり……。関係ないけど、「バカボンパパ」とも間もなく同い年(41歳の春だから~♪)。いろいろな意味で感慨深い。
ところで、この本の面白いところは、歴史上の人物の偉業ばかりを取り上げるわけでなく、前述のように、「年齢」というくくりで、現代の人も、また、ジャンルも問わず、いっしょくたに並んでいること。
たとえば、「22歳」のページには、「平清盛 平治合戦で活躍(1159)」と一緒に「児島明子 ミス・ユニバースで第1位となる(1959)」「桑田佳祐 ロックバンド“サザン・オールスターズ”を結成し、『勝手にシンドバッド』が大ヒット(1978)」といったものが並んでいたり、「25歳」のページに「樋口一葉 25歳の若さで没す(1896)」「ちあきなおみ『喝采』でレコード大賞をうける(1972)」「ガッツ・石松 WBC世界ライト級チャンピオンとなる(1974)」といったものが並んでいたりするのだ。
2歳の「六条天皇 即位(1165)」から始まり、冒頭は「○○天皇 即位」ばかりで、終わりのほうは「○○没す」ばかりというのは、年齢順にまとめた構成上、仕方のないことではあるけれど、それにしても面白い「年齢」という切り口の本。
自分の年齢のことをふと考えたとき、読んでみると、新たな発見があるかもしれません。
(田幸和歌子)