それは、「うちの子のアレ、すごく小さいんだけど」
「うちの子のは、けっこうスゴイんだよね~」
「うちの子、包茎だよ……」
アレとはつまり、チン○ンのことだ。
男のきょうだいがなく、娘しかいない自分などは、冗談だと思って聞き流しがちだが、意外にもこれ、真剣な会話である場合が多い。
乳幼児の男の子のアレの大きさや諸事情が、将来に影響するものなのだろうか。いったい何が問題なのか。
『はい、泌尿器科です。』の著書で、医療法人社団 湘南太陽会 鳥居泌尿器科・内科の鳥居伸一郎院長に聞いた。
「基本的にホルモン異常がなければ、大きさに個人差はあっても心配ありません。でも、実際に、子どもの性器が小さいといって受診される方はけっこういらっしゃるんですよ」
幼い男の子に関して、「小さい」ということで不安に思ってくる場合、多いのが「肥満によるもの」という。
「肥満によって下腹部が盛り上がって、3分の1ぐらいしか表に出ていないという子もいます。こうした場合、脂肪を押しのけて掘り返してみると、ちゃんと奥まであるという場合がけっこうあるんですよ」
大きさの個人差はあまり問題ないとして、お母さんたちの間で同じくよく話題になるのが、「むくかどうか」というものだ。
これ、同様に男の子を持ったことのない人には、まるでわからない話題であり、「赤ちゃんなのに?」などと思う人も多いだろうが、実際に泌尿器科に相談に来る人は少なくないという。
「『真性包茎』で皮膚が邪魔している場合があり、日本ではやりませんが、欧米などでは宗教的な理由から最初から切り取る国もあります。ただし、95%は『癒着』といって、単にくっついている状態で、これは問題ありません。
実際、0歳児くらいでむいてしまう人は多いそうで、その理由は「痛みを感じにくく、ラクだから」ということ。また、「くっついた状態だと、バイ菌がつきやすくなり、亀頭の発育にも良くない」などといったこともあるのだそうだ。
ただし、これには、意外な問題もあるという。
「実際に『むいてしまったほうが良い』というのは一理ありますが、世代差もあって、『放っておけばいい』という考え方ももちろんあります。たとえば、剥離すると、一時的に出血したりすることもありますので、可哀想という声もあり、お父さんとお母さんで、あるいはおばあちゃんとなど、家族内で意見が分かれることもあります。実際に、むいた後に、おばあちゃんが怒ってきたなんてケースもありますので、家族内の意見を調整してからのほうが良いと思いますよ」
ちなみに、ムリに処置しなくても、95%は自然に治るそうで、また、真性の場合でも、ステロイドの塗り薬を使用して、手術などしなくても済むというケースもあるという。
意外と知らない、小さな男の子のアレの問題。気になる場合は、家族で相談したうえで、泌尿器科を受診してみるのも良いのかも。
(田幸和歌子)