突然だが、あなたは犬を飼っているだろうか? もし飼っていなくても、“犬好き”という人は多いだろう。犬の“愛くるしいポイント”は挙げればキリがないが、そのひとつに“しっぽを振る仕草”が入ることは間違いないと思う。


街を歩いていると、うれしそうにしっぽを振りながら飼い主と散歩を楽しんでいる犬をよく見かける。犬がしっぽを振るのは、“うれしい”や“楽しい”など、プラスの感情の表現だと推測できるが、実際はどうなのだろう? また、無意識に動いてしまうのか、状況をうかがって意識的に振っているのか……その仕組みは??? あのかわいらしさが計算だったらちょっとショックだなーと思いつつも、真相を家庭犬行動セラピストのドッグテックジャパン河原さんに聞いてみた。

犬はどんなときにしっぽを振るのですか?
「しっぽには、喜怒哀楽の感情表現や、警戒、順位づけの心理状態を表現するなど、さまざまな使い方があります。うれしいときにしっぽを振るのは間違いないのですが、実はそうじゃないときにもしっぽを振ります。“しっぽを振っているから喜んでいるんだ”と解釈して近寄ると、場合によっては痛い目を見ることもあるので注意が必要。とくに、犬が低い位置やピンとしっぽを立てて振っているときには刺激しないようにしましょう。
そんなとき、犬は人間に対し“警戒中! 怖い! 触らないで!!”と事前にしっぽで気持ちを伝えてくれているんですよ」

“犬に好かれる”と自負する筆者は、しっぽを振る秋田犬に抱きついて噛まれた経験があるが、そういうことだったのか……。では、うれしいときとそれ以外のしっぽの振り方には違いがあるの?
「数年前にイタリアの学識者が発表した内容に、感情を右脳左脳のどちらで捉えるかにより、しっぽの左右の振りに偏りが出るというものがありました。右脳(マイナス感情)優勢時は左に、左脳(プラス感情)優勢時は右に偏るのだそうです。犬は人間より脳のつくりが原始的なため、反応が反射的に出ていることが多いのだと思います」
その説通りなら、右に偏ってしっぽを振っているときは、うれしいサインと見てよさそうだ。
「ただ、人間の身近で暮らし、その生活を観察し受け入れようとしている犬たちであれば、空気を読んで振ることがあると思います。たとえば、くつろいでいても飼い主に名前を呼ばれたら愛想よくしっぽを振る、といったケースなどがそうです。
まるで人間の愛想笑いみたいだな、って思いますよ」

えぇ~! それは驚きだ。ちなみに、猫の場合も同じ?
「猫もしっぽで感情を表現しますが、自由な分、体を擦りつけてきたりと体全体で表現していることが多いように思います。また、気分が乗らないときなどは、あまり愛想をふりまかない場合が多いのではないでしょうか」

犬がしっぽを振るのには、いろいろなケースがあるようだ。しっぽを振っているからといって一概に“よろこんでいる”とは限らないので、そこは犬の気持ちをうまく察してあげたい。
(堀口麻琴/プロップ・アイ)