雑貨屋でメモ帳とかを購入すると、たまに書いてある「再生紙を利用しております」なる一文。意義がある。
素晴らしい! 不要となった物が新たな何かに形を変えて、再び必要な物に生まれ変わるエコロジー。

そして、ここでは不要となった“菓子袋”を再利用。その名も「エコミスモ」なるブランドは、フィリピンの家庭で廃棄されたお菓子の袋を収集し、それらを繋ぎ合わせてポーチを作り出しているのだ。

実は、同ブランドを運営しているのは「NPO法人ACTION(アクション)」代表である横田宗(はじめ)さん。そこで、このポーチを製作することになったきっかけを伺った。
「17年間、フィリピンの子どもたちをサポートする活動を実施していく中で『ストリートチルドレンが学校に行けるようになるにはどうしたらいいか?』を考えました。
子どもたちが路上で仕事をしないで済むには、両親に仕事がなければいけないんです」

だが、どんな仕事がいいのかが思いつかない。そんな時、お菓子袋でポーチを作っている現地のお母さんに出会った。これを日本の技術でブラッシュアップさせていったら、売り物として通用するクオリティに。そして、めでたく今年の5月に商品化となった。

作り方は、かなりの手間をかける。
まず、お菓子袋を縦2センチ横5センチにカットし、それを6分の1に折って畳む。
これらのパーツを1つ1つナイロンの糸で繋ぎ合わせるからこそ、出来上がりはこんなにも色鮮やかに。

そんなエコ商品なのだが、種類は10種類と豊富。中でも横田さんのオススメはペンケース(税込み2,888円)。これを作るには650枚のパーツが使用されており、そのパーツを作るためには計4000回の折り畳み作業が必要となる。

だからこその、頑丈さ。お菓子袋だけに「ペラペラなんじゃないの?」という先入観を持ってしまいそうだが、厚さは5ミリ。

横田さん自身、試作品として製作された小銭入れを1年前から愛用しているが、「まだ、どこも壊れてません」

……と、クオリティの高さはわかった。では、現地の人にはどのくらいの助けになっているのか? その辺りを伺ってみると、
「平均すると、1カ月でフィリピンの一般男性の3分の2の報酬を皆さんは得ております。中には、男性と同じくらいの月収を稼ぐ方もいらっしゃいます」(横田さん)
たとえば、1番小さいSサイズのポーチを作ることで、6人家族の1食分の収入が得られる計算だという。

また、現地のお母さん方に取っては金銭面以外でも喜びがある。
「向こうでは、学校に行かなかった人も多いんですね。それが、このポーチを作ることによって、『社会と自分が関わりを持っているのが嬉しい』と思ってくれているみたいです」(横田さん)
自分たちの手によって出来上がった商品が、日本のお店で売られている。
それが、何より嬉しいそうだ。

そんなエコ商品たちのラインナップは豊富。ポーチ、ペンケース、DSケース、財布、コスメティックポーチ、キーホルダーなどなど。

商品は、東京都武蔵野市にあるNPO法人アクションの運営するアジアン雑貨店「sarisari(サリサリ)」、エコミスモのウェブサイトなどで販売されている。

理念に賛同するも良し、ポップなデザインに惹かれて購入するも良し。その裏には、こんなドラマがあるということです。

(寺西ジャジューカ)