スズムシを飼ったことはありますか?

私自身は飼育したことはないが、子供の頃友達の家や学校の教室で飼われていた記憶がある。プラスチックのケースには餌となるナスやキュウリが竹串で土に刺してあったものだった。

それで私は最近までスズムシはナスとキュウリだけで生きていると思っていたのだが、スズムシを飼育したことがある知人に「鰹節や煮干しもあげてたよ」と聞かされ、非常に驚いた。あの優雅な鳴き声はいかにも草食って感じがするのに……。

そこで、スズムシの飼育法を詳しく紹介しているサイト「スズムシ育成日記」の管理ishitani氏に話を伺ってみた。

「野菜だけではタンパク質の摂取が出来ないわけですから、幼虫から成長する過程で必要なタンパク質を摂取するために共食いが起こります。 また、成虫の場合メスは卵を生産するためにタンパク質が必要となる為、カマキリ同様にタンパク質摂取を目的として共食いが起こります。 共食いをある程度防ぐ栄養素としてタンパク質を与えることが必要となります。 タンパク質のエサを与えたからと言って100%共食いを防ぐことは出来ませんが」
そういえば教室で飼われてたスズムシがいつの間にか激減していることがあったが、あれは逃げたんじゃなくて共食いだったのか!(ちなみに元気なスズムシを捕食するのは苦手らしく、弱っているものを狙うらしい)

「鰹節、煮干しの他に豚肉・鶏肉等も食べます。手に乗せると噛み付いてくることもあります(痛みは特に有りませんが……)」
ええっ、噛みつくなんて意外と凶暴。ああ、ますますスズムシのイメージが覆されていく……。

食べ物によって鳴き声が変わったりしないのだろうか。肉ばっかり食べると激しい鳴き方をするとか? 
「基本的に鳴き声は翅の形状によって変わるので食べ物によって変わることはありませんが、リンゴやモモ等の糖分を摂取することで翅の付け根の筋肉が活発になり鳴き声が大きくなります」
鳴き声を大きくするにはデザート(?)も食べさせるのか。野菜、肉、魚、果物と、なんだか人間の食事みたいでグルメだなあ。


最後にishitani氏にスズムシ飼育の魅力を聞いてみた。
「スズムシの魅力は鳴き声に有ると思います。現在ではスズムシの鳴き声を利用したPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療も行われています。 飼育法もそれほど難しく無く、繁殖も注意事項さえ守れば簡単にできるので、成虫(3ヶ月)→卵(6ヶ月)→幼虫(3ヶ月)→成虫(3ヶ月)という誕生から世代交代までのサイクルを1年間で観察することが出来ます。 自分で卵から孵したスズムシが夏に鳴かせると言うのが一番の醍醐味かもしれませんね」

家庭で飼育したスズムシが増えすぎて困っている人も多いと聞くが。
「サイトでは里親を募集することにより スズムシを飼育してみたいという方と繁殖させてみたものの、数が多すぎて育てきれないという方の助けになると思っています。年々、里親募集ページへの掲載数が増えています」

スズムシの飼育法を詳しく知りたい方、里親になりたい方はぜひ「スズムシ育成日記」のサイトを訪れてみて。
(いなっち)
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