最近、自然食品のお店などでよく見かける国産の紅茶=『和紅茶』。紅茶といえばインドやスリランカ産の輸入モノが中心と思っていたため、「へー、国産の紅茶なんてあるんだ」と思わず手にとってみた。
飲んでみると、渋みが少なくマイルドな味わいで、デリケートな余韻が残る。紅茶=ケーキやクッキーにしか合わないものと思っている人も多いと思うが、日本の気候や風土で育まれた『和紅茶』は和菓子や和食にも合うのが特徴。

日本における紅茶の歴史をひもといてみると、実は戦後の一時期、紅茶は日本で盛んに生産されており、国内での需要はもちろん、重要な輸出品でもあったのだとか。しかしながら、昭和46年の紅茶の輸入自由化によって衰退の一途を辿ることに。ところがここ数年、再びこの『和紅茶』の生産量が急激に増えているらしい。


このブームの背景にはどういった事情があるのだろうか? 佐賀県にて『紅茶専門店 紅葉(くれは)』の店長を勤めつつ、和紅茶専門のカリスマブレンダー!? として活躍する岡本 啓(ひろし)さんにお話を伺ってみた。最近、東京ミッドタウンの『虎屋菓寮』で人気を呼んでいる『和紅茶』も岡本さんのブレンドとか。和紅茶ってズバリ、輸入品の紅茶とどう違うんでしょう?

「一般に昼夜の温度差が少なく、日照量も少ない、過酷でない環境で育つ日本の茶樹は、優しい味わいを持つようになります。そのままでほのかに甘みがあり、お茶に砂糖やミルクを足さない習慣を持つ日本人好みの味なんです。また、同じ理由で日本の水や食事と相性が良いので、和菓子や普段の食事にも合わせやすいといえます」

とのこと。また、従来の「和菓子+日本茶」「洋菓子+紅茶」という固定観念にとらわれず、様々な喫茶形態を楽しむ人が増えてきたこともブームの一因という。ちなみに、和紅茶ならではのおすすめの飲み方などはあるのでしょうか?

「和の紅茶には大きく分けるとうま味を楽しむ『滋納(じな)』、香りに重点を置いた『清廉(せいれん)』、海外紅茶に近い渋みを持つ『望欄(ぼうらん)』の3つがありまして、それによって適した入れ方が変わってきます」

「『滋納』はうま味を引き出すためにじっくりと時間をかけて抽出し、少し温度を低くして飲んだほうがうま味が際立ちます。
『清廉』は熱湯ですばやく抽出し、香りを逃がさないうちに楽しみます。温度はより高いほうが香りがたちます。『望欄』は海外紅茶と同じ入れ方で楽しみ、時には濃い目に入れてミルクをいれてもおいしく頂けます」

とのことで、個人の好みもあると思うがおおまかに分けると
・滋納……和食や和菓子と合わせたいとき
・清廉……お茶のみを単体でじっくり味わいたいとき
・望欄……砂糖やミルクを加えて、洋菓子と合わせたいとき

ということになるようだ。なんだか茶道の世界のような奥深さに感心! 茶葉の種類や入れ方によって、さまざまな楽しみ方ができるというところにも、和紅茶の無限の可能性を感じた。今後、家で『和紅茶』を楽しむ人が増えるのはもちろん、和紅茶をメニューに導入するカフェも増えていくかもしれませんねー。おいしくて新鮮な和紅茶の世界、あなたもいち早く体験してみてはいかが?
(まめこ)
編集部おすすめ