以前、コネタで「バナナ自動販売機」を紹介したことがあるが、今度はこんな自動販売機。ご存知だろうか? 「たい焼きの自動販売機」を。


これは、東京都港区新橋のたい焼き店「天下のたい焼き」(TEL:03-6228-5358)入り口近くに設置されているもの。

実は、「天下のたい焼き」本社は福岡にあり、今年の8月に九州から東京へ初進出。だからこその、この自動販売機だという。その点について、同店に話を伺ってみた。
「都内には手焼きのたい焼き店ばかりだと思うんですが、既存の店舗がやっていない事を東京ではやりたいと思ったんです」(担当者)

そこで浮かび上がった“自販機プラン”。東京進出に際して、自販機メーカーに「たい焼きの自動販売機を作るのは可能か?」と聞いてみたところ、「可能です」という回答を獲得。元は牛乳(パック)の自販機だった1台を再利用し、「たい焼きの自動販売機」を製作してみせた。そして、新橋店のオープンと同時に初お目見え!

それにしても、心配だ。たい焼きなんて“アツアツホクホク”だからこそ、美味しいのではないか?
「当店のたい焼きは、何通りのパターンでも食べられるんです。冷たい状態でも美味しいですし、常温で食べても“大福”みたいに食べられます。また、トースターで焼いたとしても、また違った形で美味しいんです」(担当者)

自販機内の温度は摂氏5度でキープされており、その状態で保存された“冷たいたい焼き”を頂くことができる。ちなみに、店内に焼く機械は見当たらない。
お店では、ショーケース内に10度の状態で保存されたたい焼きが用意されている。これは、家に持ち帰って食べるお客さん、その場で食べるお客さん、それぞれの食べ方を考慮した温度設定。
同店には「どの状態のたい焼きが美味しいか」を熟知したスタッフが在籍しており、最高の状態のたい焼きを、万全のタイミングで食べてもらえるように努めているのだ。

……と、ストーリーを語るのも大事だが、たい焼きなんだから実際に食べに行きたい。9月某日、“冷たいたい焼き”を買いに新橋まで足を運んでみました。

到着すると、お店の入り口付近に設置されている今まで見たことない自販機。案の定、道行く人がチラチラと横目で……。完全に注目を浴びていた。
そんな中で、自販機のたい焼きを購入。初体験である。箱を開けてみると、中には「おいしい食べ方いろいろ」と題したマニュアルが同封されていた。これを読めば、“常温”、“焼いて”、“レンジで”など幾通りものバリエーションでたい焼きを楽しめるのだ。


ちなみに、私は常温でそのまま頂いたのだが、これがメチャうま! マシュマロとアイスの中間みたいな。まさに“モッチモッチ”。この食感、既存のたい焼きのイメージを思いっ切り覆してしまうだろう。

そんな「たい焼きの自動販売機」、オープン当初から「なんだ、これは?」と、道行く人の注目を集めることに成功。また、今年の猛暑も影響して、冷たいたい焼きを求める人が殺到した。
他には、学生や若い女性が自販機を横にして記念撮影する姿も。それらがメールやブログで人から人へ伝わり、遂には行列を作るまでに至った。

味は、「あずき」「チョコレート」「カスタード」の3種類。自販機では2個入り(380円)と3個入り(570円)が販売されている。

とにかく斬新な試みばかりの同店なのだが、一番変わっているのは、やはり「店内に焼く機械がない」こと。
「既存のたい焼き屋とは競争したくなかったんです。違うやり方を選んで、業界全体の底上げをしたいんですね。
だから、他のたい焼き屋さんが『コレっていいな』と、ウチのたい焼きの方法を追っかけてくれてもいいんです」(担当者)

「天下のたい焼き」の“俺流”には、ワケがあった。
(寺西ジャジューカ)
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