子供の頃は、ひとりで入るお風呂が怖かった。特に、シャンプーのくだり。
頭を洗って、泡が入らないように目をつむる。その時に感じる「うしろに、何かいるんじゃないか?」という恐怖感。お風呂に入るのは、一大決心だった。

実は、使うと浴室で妖怪に出くわすような入浴剤が発売されるらしい。株式会社ジョイパレットが作り出した『墓場鬼太郎 ぬめどろ地獄湯』が、それだ。

この入浴剤、湯船に入れるとドロドロになって浮遊するという。同社いわく、
「ぬめっとしてどろっとした、ゲル状の“人間界初の入浴剤”です」

それにしても、何でこんな物を作ったのか? 不気味なのだが……。
「ユニーク入浴剤が流行しているため、当社でもユニーク入浴剤へ参入しようという流れがあり、色々企画を出した中の1つが本商品です。また、私自身が雑貨市場で流行っている“キモ楽しい”グッズが大好きだったので、そんな入浴剤を作りたいと思ってしまいました」(同社・担当者)
世の女性は、“キモチ悪くて、楽しい”という物が好きだそうだ。この商品の開発を担当したのも、実は女性。彼女らは「ウワーッ!」と言いつつ、心底では満喫しているということか。複雑な女心である。


そして、この入浴剤でフィーチャーされているのは、『ゲゲゲの鬼太郎』の前身作品である『墓場鬼太郎』。2010年、何かと話題の巨匠・水木しげる作品の出番と相成った。

そんな、この入浴剤。タイプは2パターン。
1つは「霧の中のジョニー 真っ赤な吸血風呂」。これを入れると、血の海のようなお湯になる。縁起でもないが、ニオイはお香で有名な「キャラ」を使用。“お墓の香り”をイメージしているそうだ。
もう1つは、「ねずみ男 緑の吐息風呂」。これを入れると、ねずみ男の口臭をイメージさせる緑色のお湯になる。ニオイは「ヒャクダン」だが、こちらも意識するのは“お墓の香り”。

そこまで言われたら……。
どれだけキモチ悪いのか、私も試してみました。
まず使ってみたのは、「真っ赤な吸血風呂」。袋を開けて湯船に放り込むと、そのサマはまるで湯に沈んでいく血のしずく。のぼせて、急に鼻血が出ちゃったみたいな。しかし、それを手ですくってみると、何故かいいニオイがする。墓場で頭上から垂れ下がる柳の葉っぱのようなニオイ。不気味だけど、独特の癒し効果があるのは信じていただきたい。

続いては、「緑の吐息風呂」を使用。袋を開けて湯に投げ入れたら、緑色のドロッとした物体がボトッと湯の底に沈んでいった。これを、手ですくってみる。ねずみ男の吐息を……。しかし香るのは、墓場の道端にある質素な花のようなニオイ。
激務でカッカしたハートを、色んな意味で冷んやりさせてくれるニオイである。

この『墓場鬼太郎 ぬめどろ地獄湯』は、10月26日より全国の雑貨店などで販売。価格は各380円(税抜き)。

今年は、水木しげる氏の画業開始から60年目。世も“鬼太郎”をはじめとする水木作品で盛り上がっている。
そんな中で完成した、記念すべき“キモチ悪い”入浴剤。私も水木先生の果たした偉業を、浴室から祝福したい。
(寺西ジャジューカ)
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