しとしと雨が降る日や、冷え込みの厳しい日。
「温かい飲み物でも」と立ち寄ったファーストフード店が、ものすごく寒いことがときどきある。


特に、うっかり空調の吹き出し口近くに座ってしまったときなどは、寒風吹きすさぶ下で上着を着たままブルブル震えるようなこともある。
寒い日に冷房は要らないと思うのに、これって、なぜなのか。

ときどき噂では「客に長居されないように、わざと寒くする」とか、逆に「暑くする」とか言われるけど……。そもそも一定の温度に設定されているもんじゃないの?
ファーストフードチェーン店などで使用される業務用エアコンを扱う社団法人冷凍空調工業会に聞いてみた。

「業務用エアコンは通常、一定の温度に設定されています。複数のエアコンを使用しているか、1台のエアコンで全てを担っているかは、エアコンのメーカーや製品によって異なりますが、たいていはオートになっているはず。
また、定期的に冷たい送風があるように見えますが、通常は、温度を検知する場所があって、そこの部分のあたたかい空気を吸い込み、冷たい空気を出しているだけです。ただし、寒い日なども関係なく、オートで温度設定を低いままにしている店もあると思いますし、ケースバイケースですが……」

そういえば、新幹線・在来線なども異様に暑いとき・寒いときがあるけれど、業務用のオートの設定って、案外、臨機応変に快適な温度を保つことができないのかもしれない。
それにしても、店内で上着を着ていてもなお寒いようなときは、「寒い」と言って良いものなのだろうか。
「もちろんお客さんが『寒い』と言えば、温度を上げてもらうことはできるはずです。ただし、ビル全体でエアコンの集中制御を管理している場合もあり、テナントごとに調整できないということもあるようです」

あくまでケースバイケースではあるようだが、この疑問について、あるファーストフード店の店員さんは、こんな説明をしてくれた。
「お店によって違うとは思いますが、わざと温度を低くしたりすることはないですよ。
1台のエアコンしかない場合、どうしても場所によって温度に差が出ることはあると思います。それと、ファーストフード店の場合、厨房がけっこう暑く、店員は厨房から出ることがあまりないので、お客さんの席の温度が店員にあまりわからないというのもあるかと思います。たいていは、『寒い』と言えば、温度を変えてもらえるはずですよ」

「こんなこと言って良いだろうか」とためらいがちな店内の温度の問題。でも、店員さんが気づいていないだけという場合もあるので、常識の範囲であれば、伝えてみるのも良いかもしれません。
(田幸和歌子)