「合図はパー 返事はグー」
何の合図だろう? とりあえず「パー」をやってみたが、返事の「グー」はどこにも見当たらない……。
すると、小4の娘が「たぶん工事現場の作業員さん同士の合図なんじゃない?」と言う。
これ、どういう合図とどういう返事なのだろうか。工事を執り行っている戸田建設に聞いてみた。
「この合図は『グーパー運動』というもので、弊社だけでなく、建設現場において一般的にやっているもののようです。現場の中の作業員同士のコミュニケーションとして、行われているんですよ」(広報課)
パーとグーというと、ジャンケンのようだが、いったいどんなコミュニケーションなのだろうか。
「建設現場には重機がありますが、重機周辺に作業員が近づくと危険だということから、近づきたい場合に、オペレーターに対して『止まって!』という意味で『パー』を出します。それを確認したオペレーターがOKであれば、『了解』という意味で『グー』を出すという約束です。安全確認のための『グーパー運動』なんですよ」
もともと建設現場や工事現場、特に重機周辺では騒音があり、声が届かないことから、ジェスチャーでコミュニケーションをとることになったのが「グーパー運動」だそうだ。
ちなみに、「パー」「グー」はあっても、チョキはない。また、ジャンケンにおいては「グーパーチョキ」「グーとパー」など、「パー」より「グー」が先に言われることが多い気がするけど、「パーで合図、グーで返事」にはちゃんと意味があるらしい。
「ジャンケンでは勝った・負けたがありますが、パーで『止まって!』と要求し、重機のオペレーターのほうは『パーに負けた』ということで『グー』を出して重機を止めます」
そして、負けた側である重機のオペレーターは、パーの作業員が遠ざかってから、再び重機を動かすようになっているという。
「もともとグーパー運動は、『事故がなく安全に作業が行えるように』という目的の作業員同士の合図であって、外に歩いている人に向けてのメッセージではないのですが(笑)。
冷え込み厳しく、手もかじかむような時期、工事現場の皆さんには「グーパー運動」で安全第一をお願いします。
(田幸和歌子)