以前、コネタで変わった形のキュウリを紹介したことがある。ハートやお星様の形をしているキュウリ。
もう、“変わってる”どころの騒ぎじゃない。

そして今回は、トマトだ。「大島造船所」(長崎県)が開発・発売しているのは『大島トマトばれんたいん』なる、ハート型のトマトである。

私も、写真を見て驚いた。もろハート型。なんとも、キュンとくるトマトではないか。
そこで同社に、こんな変り種トマトが出来上がるまでのストーリーを伺ってみた。
「実は元々、当社は造船のみを行っている会社でした。しかし、そのうちに造船不況が起こります。会社としては『社員を切り捨てたくない!』という思いがあり、雇用対策として昭和63年より始めた新事業が“トマト栽培”だったんです」(担当者)

こうして始まった、トマト作り。これが、段々「美味しい!」といった評判を獲得していく。
そして、同社が手がけるトマトには更なる特徴があった。
まず、“先が尖っている”。そして、“酸味が強い”。
この2点を特徴として持つのが、今年で23年目になる品種“ファースト”。長崎県の大島町が誇る品種である。

そしてある日、同社に反響が届いた。それは「大島トマトは、切ったらハートの形をしている。
これを前面にして売り出したらいいのでは?」という、運命的なアドバイス。
「この“ファースト”は一世代前の品種で、現在よく見る形のトマトとは少し形が異なるんですね。だからこそ、今のお客さんには一周回って新鮮に見えたのでしょう」(担当者)

そこで同社も、お客さんからのアドバイスを素直に頂戴した。今年のバレンタインとホワイトデーに向けて、“ファースト”を『大島トマトばれんたいん』とリニューアル! 違った角度から、このトマトを打ち出してみた。

なるほど。なんとも、ゲンが良さそうだ。
早速、私も取り寄せて食べてみました。
実際に手に取ってみると、下へと尖る先っちょが鋭い。心なしか、栗みたいな? コレを真ん中からスパッとぶった斬り! 断面を見てみると、ハートになっているはずだ。……ハート。形が、完全にハート。思わず、恋したくなるような形。
“恋したくなるトマト”。

なんか、食べるのがもったいないなぁ……。しかし『大島トマトばれんたいん』の売りは、形だけじゃない。なんと、この品種はフルーツのように甘いらしいのだ。それには理由がある。
「このトマトは、独特の方法で栽培しているんです。
簡単に言うと“甘やかさない”育て方ですね」(担当者)
栽培するときには、環境をトマトの原産地であるアンデス山脈に近づけて、その状態で育てる。土の状態は言わずもがな。水も必要以上に与えない。
「そうすると、トマトの方で『育とう!』という気持ちが強くなり、植物自体の力が引き出されるんです」(担当者)
この“ファースト”という品種、水や肥料をあげすぎるとソフトボールくらいの大きさになってしまうという。それをあえて小っちゃく育てることで、結果的には栄養素が凝縮された。

こんな情報を聞いて、食べないわけにはいかないだろう。意を決して、口にしてみました。……オー、確かに! 普通のトマトより、明らかに甘いです。イメージとしては、“ジュルッとした柿”を頬張っているみたいな。野菜という感じはあまりしない。フルーツというか、デザートをいただいてる感覚に近いです。

そんな、この『大島トマトばれんたいん』。バレンタインシーズン(2月10~14日)には限定150個が発売され、あっさりと完売している。
しかし、次がある。ホワイトデーシーズンの販売分は、3月10日から。トマトの日持ちを考えると、せいぜい4日前からの発売がギリギリだから、この日からの発売。

購入は、大島造船所のホームページから。また、「長崎 ハウステンボス」や「長崎 元気村」での店頭販売も行われる。

もう、画像を見ていただきたいです。あまりにも特別な形のトマト。でも、食べてください。そこには、新鮮な驚きが待っているので。
味も見た目も特別。特別な人にプレゼントするにふさわしい。
(寺西ジャジューカ)