3月初旬に、東京、お台場に行った。
水上バス、陸上バス、自家用車など交通手段はいろいろあるが、一番よく利用されるのは、運転士のいない電車「ゆりかもめ」だろう。
そんなお台場で、「ゆりかもめの玉子」なるお菓子を発見した。

岩手に「かもめの玉子」という有名なお菓子がある。そのパロディ商品だろうか。名前だけ似ていても……と思いながら、とりあえず買ってみると、ナントこれがウマイ。どうやら、本家「かもめの玉子」と同じ、さいとう製菓の商品らしい。

どうしてこんな商品を? 販売を担当する「株式会社鴎の玉子」に聞いた。

「2009年に初めて行われた『東京タワーさんままつり』をきっかけに、東京都港区との交流が始まりました。港区とのつながりを模索したところ、都の鳥『ゆりかもめ』にちなんだ商品を作ることになったのです」
「ゆりかもめ」は乗り物の方じゃなくて、鳥の方だったのだ。それにしても東京都の鳥がゆりかもめだったとは、恥ずかしながら初めて知りました……。

さて、「ゆりかもめの玉子」、形や大きさは「かもめの玉子」とほぼ同じ。色はやや赤っぽくて、赤玉子のよう。「ゆりかもめ」と「かもめ」の違いはどこにあるのだろう。

「『ゆりかもめ』は、外側からチョコレート、カステラ生地、黄身あん、練乳の四層構造のハーモニーが楽しめます。幅広い年齢層に受け入れられる、親しみやしい懐かしい味にするために練乳を使った点と、甘さを引き締めるのに酸味の利いたフレーバーチョコを使った点が、『かもめ』との違いです。このバランスを作り上げるのに、時間がかかりました」
「かもめ」は外側にホワイトチョコを使っている。色の違いは、チョコの違いだったのだ。

もうひとつ注目したいのが、パッケージに印刷された商品キャラクター「ゆりたまちゃん」。ころっとして、ちょこんとした様子がとてもかわいい。
ところで、水辺にいる本物のかもめとゆりかもめは、くちばしと足の色で見分けることができる。かもめは黄色で、ゆりかもめは赤色。「ゆりたまちゃん」もこのあたり、ちゃんと赤色になっていて、芸が細かい感じ。

さて、最後に岩手出身、東京在住の友人に「ゆりかもめの玉子って知ってる?」と聞いた。すると、「それ、鉄でできてるの?」との珍回答が。やはり、乗り物を想像したらしい。
「ゆりかもめの玉子」は、お台場周辺のアクアシティ「ル・江戸」、ヴィーナスフォート「レインボードロップス」、また東京駅一番街「東京みやげセンター」などで販売中(※本記事取材・執筆は3月初旬。現在、「ゆりかもめの玉子」は震災による影響で製造を休止しています)。発売から1年、まだそれほど知られていないようだけれど、新たな東京名物となりそうだ。
(R&S)

問い合わせ:株式会社鴎の玉子 東京支店 MD事業部
      電話:03-6273-3770 フリーアクセス:0800-800-0583

※岩手県大船渡市に本社のある、さいとう製菓株式会社は、3月11日の東北地方太平洋沖地震による津波で大きな被害を受けました。本記事執筆は3月初旬。現在、「ゆりかもめの玉子」は製造を休止しています。
震災で同社は、本社に大きな被害を受けましたが、工場は高台にあり、地震の被害は受けたものの津波の被害は免れたとのことです。同社は1960年のチリ地震の際にも津波の被害を受けましたが、2カ月半後に営業を再開させました。今回も一日も早く復興されることを願っています。営業再開の際には、再度、取材させていただきます。