筆者は、ただならぬ暑がりである。という自覚は、数年前まで特に無かった。
自覚するようになったのは、結婚後に迎えた最初の夏のこと。

「あなた、寒いのよ!」と筆者にキレる妻。寒い? 筆者が? たしかに、ダダすべるときは多々ある。けれど、今は特にキレられるような寒いことをしていないのだが……? と思いきや、なんのことはない、エアコンで部屋を寒くしすぎとの抗議だったのだ。

それ以後は、自分が極度の暑がりであることを自覚するようになった。筆者が設定した温度では寒いらしく、同じ会社の社員たちは長袖を着ていることに気づく。
中には、薄手の上着を着ている女性社員もいる。映画館へ一緒に行った知人は、冷たいコーラをガブ飲みする筆者を横目に、「館内寒いですね」とホットコーヒーをすする。そして、寝室を共にする妻と娘は、エアコンを効かせつつ上半身裸で寝る筆者に冷たい視線を送りながら、フトンをスッポリとかぶり寝る……。

おそらく、筆者は北国育ちで暑さに弱い上、メタボボディに脂肪を蓄えているがゆえにやたらと暑がりなのではと自己分析している。しかし、今年の夏はそうも言っていられない。節電の夏。
エアコンの使用は、できる限り控えなければ!

そんな考えを持つ人たちが世の中には多いらしく、いわゆる“冷却グッズ”がいま飛ぶように売れているのだという。ただ、その効果に対しては正直なところ、真性暑がりの筆者としてはやや疑いの目を持っている。うだるような暑さの中、冷却グッズだけじゃコト足りないのでは……? しょせん、気休め程度のものなのでは……?

そんなわけで今回は、“冷却下着”として話題を呼んでいるワコールの「冷やテコ」を試してみることにした。なんでもこの「冷やテコ」、今年3月に発売されて以来大人気となり、ワコールの担当者の話だとすでに品薄・完売状態なのだとか。

「冷やテコ」は、ステテコの類である。ステテコといえばオジサンの下着というイメージが強いものの、ワコールの担当者いわく「フトモモの裏などにかくベタベタとした汗を軽減させる効果がステテコにはあります」。
夏場にはもってこいの下着というわけだ。また、ワコールからはスタイリッシュなステテコも販売されるなど、最近はオジサンイメージも低下。若い世代にも広く着用されているという。

そして、この「冷やテコ」。薄くて密度の濃い繊維である“接触冷感素材”を用いることで肌から熱が発散しやすくなり、ひんやりとした着心地を得られるらしい。さっそく着用してみると、たしかに、ひんやり冷たい。
しかも、それが持続する。非常にキモチがいいではないか。

ならば、これを着用したままで、エアコン無しの熱帯夜にトライ! 妻と娘はエアコンに冷やされない夜を喜び、筆者よりも先にタオルケット一枚でゴキゲンに寝やがった。くそう……。いい気なもんだぜ……。こちとら、暑くて寝られないんじゃないかとひたすら不安なのに……。
「冷やテコ」のひんやり感だけが今夜は味方……。

しかしながら筆者、のび太よろしくスーッと眠りに落ちた。いや、暑いことは暑いんです。寝ながらも暑さは感じていましたし。「冷やテコ」一枚で冷房いらず、とまではいかないかもしれません。ですが、カラダの一部がひんやりしていると、寝苦しさはかなり軽減されます。
しかも、汗をかいても吸収がいいんでしょうね、着心地は変わらずサラッとしている。これなら、真夏の外出時にもかなり役立つんじゃないでしょうか。

試し着以来、筆者はオンオフ両方でステテコを愛用するようになった。「冷やテコ」がやはりバツグンにキモチいいが、入手困難なのでフツーのステテコも購入。こちらでも、十分な快適度を得られる。この夏、男性諸氏にステテコはかなりのオススメだ。真性暑がりの皆さんも、ぜひ。
(木村吉貴/studio woofoo)