このようにフランスでも人気のディズニーランドだが、東京ディズニーランドを訪れたことがある日本人観光客の話を拾っていると、パリのディズニーランドはそこまで“夢の国”ではないという。一体どのような場所なのか。比べてみた。
まずパリは、ディズニーランド・パークと映画をテーマにしたウォルト・ディズニー・スタジオ・パークという二つの施設から構成されている。テーマは違うが、二つの異なるパークから成る点は日本と同じだ。また名称に「パリ」と冠しているが、実際にあるのはパリ市内ではなく、その郊外のセーヌ・エ・マルヌ県。「東京ディズニーリゾート」と呼称されるが、東京都ではなく千葉県にある日本の状況とも似ている。
さて、パリからのアクセスは、日本のJR京葉線舞浜駅に相当するRER(首都圏高速交通網)A線、マルヌ・ラ・ヴァレ・シェシー駅が最寄りだ。両線ともに路線のイメージカラーは赤。列車から降りると、駅構内は若干汚れており、夢の国へ来た雰囲気はまだない。
園内の客層は家族連れが圧倒的だった。
日本と比べれば“おおらか”なディズニーランドだが、日本同様、同施設が地域へ与えた影響は大きい。仏ディレクト・マタン紙によれば、ディズニーランド・パリは5万5千人の雇用を生み出し、1987年には約5千人だったディズニーランド・パリに隣接するヴァルドーロップ地区の人口を、現在2万8千人まで押し上げたという。日本と同じく、ディズニーランド・パリは地域経済を牽引する重要な役割も担っている。
今年のパリの20周年に続き、来年は東京ディズニーリゾートが30周年を迎える。また数年後には上海でも開園予定だ。地域色とは無縁のように思えるディズニーの世界で感じる、各地域の違いを体感することも、各国のディズニーランドを訪れる楽しみ方の一つといえる。
(加藤亨延)