ネッシーで有名なネス湖の近くにあるドロムナドロケット村は英国でも有数のB級感あふれた地域だ。ネッシーに関する私設博物館「ネス湖エキシビジョンセンター」「ネッシーランド・キャッスル」が建てられており、どちらもコネタ的にはかなり素敵な雰囲気を醸し出している。
どんな場所なのだろうか。

まずネス湖エキシビジョンセンターから訪れてみた。ここは6部屋に展示室が分かれていて、各部屋では模型と映像と音声でネッシーの秘密に迫る。館内には日本語に訳された解説書も用意されている。

「聖コロンバは西暦565年にネス川に住む怪物を退治した。1933年、それまで地元に伝わっていた不思議な魚の伝説は『プレシオサウルスのような生き物が道路を渡った』という話になって全世界を駆けめぐった。何千人もの目撃者が現れたが、実感では水上の現象を確認するのは難しいという結果が……」

目撃者数が何千人……かなりおおざっぱな数え方だが、気にせず次の部屋へ進む。

「1970年代、最新のカメラと潜水艦で調査は遂に水の中へ! 話題となる写真が数枚撮影されたが、なかにはただの水中のゴミも。新しい考え方で水中の生物とその食物連鎖を調査。波打ち際、200mの深淵、広々とした水上。怪物の餌となるのは魚しかいない。しかし、魚はあまりいない」

撮られた写真は数枚しかないが、いくつかはゴミの写真とのこと。
また餌となるのは魚しかいないが、魚はあまりいないそうだ……うーん。

「1990年代にはデータが分析された。森林から飛んでくる花粉、森林火災によってできて炭、アイスランドの火山からやってくるガラスの破片、酸性雨が落とす炭素粒子、核兵器テストやチェルノブイリがもたらした放射能性アイソトープ。これらすべてが、(湖底の)沈殿物に含まれている」

ふむふむ。データ分析の結果は良いとして、ネッシーは本当にいるのだろうか? 

「分かったことも多いが、謎も多い。ミステリーの行方は? 湖水は果たして真実を覆うベールなのか、幻を映し出す鏡なのか。それを判断するのはあなた」

色々な説明をされたにも関わらず、最後はこちらに判断を委ねられてしまった。やはりネッシーなんていないのではないか。気を取り直して、すぐ隣のネッシーランド・キャッスルへ向かった。

ネス湖エキシビジョンセンターの門構えは、そこそこ趣があったが、ネッシーランド・キャッスルの方は、入口からB級感あふれた造り。まず巨大なネッシーがお出迎え。その後、子供向けのアスレチック施設やキャッスルの“本丸”、そして土産物屋の奥に博物館がある。


博物館内では、エキシビジョンセンター同様に、今まで調べられたデータや撮られた写真などを使ってネッシーをアピール。ネッシーが暮らす湖内の洞窟が再現されていたり、卵から孵化したばかりのネッシーの子供も展示されている。ネッシーにまたがって写真も撮れる。ここまでひたすらネッシーを押されると逆に気持ちいい。もしかしたらネッシーは本当にいるのではないかと思ってしまった。

こうなったら、もう湖へ出るしかない。同館が有する船「ネッシー・ハンター」号でネス湖のネッシーウォッチへ出発した。船長はソナーを駆使しながら、ネス湖巡りをしつつ観光客とネッシーを探してくれる。色々と試してくれたが、残念なことに今回はネッシーを目撃できなかった(そして魚影さえ見つからなかった)。しかし残念がることはない。ネッシーの写真がほしい人は、船長が撮影したというネッシーとおぼしき物体の写真を買うこともできる。ネッシーの写真含めネス湖に関した写真は6種類あるが、船長のブロマイドもその中の1枚に含まれている。


ネッシー研究にネッシーハント。ネス湖畔はコネタ的にもかなり満足度が高い場所でした。
(加藤亨延)
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