長かった冬が終わり、桜の季節もあっという間に過ぎて、季節が急激に夏に向かって突き進んでいる今日この頃。しかしながら、都会に暮らしていると微妙な季節のうつろいに気づかないまま過ごすことになりがち。
特に今年は春が過ぎてもずーっと寒い日が続いていたこともあって、先日スーパーの棚に冷麺やところてんが並んでいるのを見て、「えぇ!?もうそんな季節なの??」とやっと実感した次第である。

ところで、日本の四季は実は5日ごとに移り変わっている、って知ってました? 1年を24で区切る「二十四節気」のことは近頃よく聞くようになったけど、これをさらに約5日ずつの3つに分けたのが「七十二候」という分類。「二十四節気」の場合は2週間ごとに季節が移りゆくことになるが、「七十二候」ではなんと5日という早いスパンでめまぐるしく季節が移り変わってゆくのである。

「くらしを楽しむ七十二候」(アース・スター・エンターテイメント)という本ではこの5日ごとに移り変わる季節をより楽しむためのヒントが、軽やかなタッチのイラスト入りで紹介されている。

著者の広田千悦子さんにお話を伺ってみたところ、「私が今暮らしている場所は都心からそれほど離れていない場所のわりに、海もあり山もある、という土地柄です。そこで子供を育て、四季を感じながら暮らしているうちに、幼い頃もそうやって暮らしていたことを思い出しました。そのことが、なにか人として生きる大切な土台になるのではないかと感じるようになったんです。嬉しいときはもちろん、つらいときや悲しいときも、人は何気ない風や空の色、空気の香りなどに癒やされるものですよね。そんなきっかけを、少しでも増やすきっかけになれば……と考えたことが本書の執筆につながりました」とのこと。

いつもリビングやデスクの上などの手元に置いて、日めくりのようにめくるだけでも楽しそう。たとえば、5月中旬なら

5月10日~14日……蚯蚓(みみず)出ずる
土の中で眠っていたミミズが出てくるのが初夏のこの時期なのだそう。 同時に畑に種子、苗を植える時期だそうで、朝顔、ミニトマト、ゴーヤなどベランダ菜園をはじめるなら今!というタイミングらしい。
ほか、夏蜜柑が食べ頃なので、寒天ゼリーなどのレシピ紹介などもかわいいイラストで図解してくれる(下画像参照)。

知っていそうで知らない、日本の素朴で愛らしい草花、昔ながらの食文化、ご先祖様とつながる行事などなど…自分や家族の誕生日がどういう季節なのかと調べてみたり、日々の献立やしつらえのヒントとしても役立つかも!? 広田さんによれば、忙しい現代においては2週間ごとの「二十四節気」より、「七十二候」の5日おきという早いサイクルが意外とマッチングするのでは?とのことだった。

富士山も世界遺産に登録されたことだし(!?)、この初夏から皆さんも「七十二候」モードで、日本のデリケートな季節のうつろいを再発見してみてはいかがでしょう?(まめこ)
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