個人差や環境差が大きいそうだが、大まかにいって、5~20回程度。1時間に2回程度が平均だという。
「寝返りには役割があるので、まったく必要がないわけではありません。ただ、あまりに多いと睡眠が浅くなりがちです」と教えてくれたのは、早稲田大学スポーツ科学学術院助教の有竹清夏先生。
先日、テンピュール・ジャパンがメディア向けに開催したトークイベントに登壇。眠りと環境について、最新の研究結果をまじえながら紹介してくれた。
具体的な寝返りの役割としては、体温を調節したり、布団のなかの湿気を逃したり、体の向きを調整したり……。また、ベッドやマットに接触し、圧迫される部分の血行不良や痛みをやわらげてくれる効果もある。つまり、ある程度の寝返りは、快適な眠りにとっては欠かせないものだ。
ところが、寝室や寝具などの環境が自分に合っていないと、寝返りの回数は必要以上に多くなる。寝返りが多くなると、どうなるか? 睡眠が妨げられ、その結果、睡眠の質も低下してしまう。
ちなみに、テンピュール(R)の「睡眠に関する調査」によれば、日本人の約4人に1人が「睡眠障害である」と思っていることが判明。さらに、イケア・ジャパン株式会社による「寝具に対する日本人の意識調査」でも、現在の睡眠に対して満足している人は半数以下という結果が出ているから、眠りに問題意識を持っている人はかなり多いようだ。
よく眠るためにはどうすればよいだろうか? 有竹先生によれば、寝室環境でポイントになるのは、音、光、そして室温とのこと。
「まったく音がないと眠れないという方には、完全な静寂ではなくリラックスできる音楽をおすすめします」
光は厚手のカーテンでシャットアウト。完全に真っ暗だと眠れない人は、顔に直接光が当たらないように注意して間接照明を利用。室温は、夏なら25度前後、冬は18度前後。寝床内は33度前後、湿度は55%くらいが快適だそう。
寝具選びも重要で、枕は自分に合った素材や高さ、掛けふとんなら軽さや適度な保湿性、吸放湿性をチェック。マットレスは柔らかすぎても硬すぎてもよくない。そしてもちろん、自分好みの寝心地も大切だ。
寝つきをよくするには、夕食以降のカフェインやアルコールも控えめに。
「日本人は世界で最も寝酒で眠れると思っている人が多い、というデータもありますが、実は飲み過ぎると、これはあまりよくない。お酒を飲むと眠気が生じて、寝つきがよくなったように感じるかもしれませんが、夜中にパッと目が覚めて、そのあと寝付けない、といったことはありませんか? これはアルコールの作用です」と有竹先生。食べ物では、タマネギやニンニクに含まれる硫化アリルという物質が寝つきをよくするといわれているそう。
ところで、寝返りには浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠の移行をスムーズにする役割もある。
テンピュールでは、 “You are what you eat”(食べるものがあなたを作る)という英語の言い回しにちなんで、“You are how you sleep”(どう寝るかがあなたを作る)をキャッチフレーズに掲げている。もちろん、寝返りの回数は自分ではカウントできないが、梅雨や真夏など寝苦しい季節を前に、自分の睡眠環境について見直してみるのもよいのでは。
(古屋江美子)