とある町で、男性が女性を殺してしまう事件がおこった。ニュースや新聞で毎日のように伝えられる話である。だがもし、町の住民たちが犯人を擁護したとしたら?

そんな、「世界びっくりニュース」のような実話を映画化したのが『バーニー/みんなが愛した殺人者』だ。

町一番の嫌われ者を殺してしまった、町一番の人気者
アメリカ・テキサス州の田舎町で葬儀屋の助手として働いていたバーニー(ジャック・ブラック)は、腕の良いビジネスマンで、他人に対しての細かい気配りを欠かさず、 市民活動にも熱心に参加するなど、町一番の人気者だった。

彼はある日の葬儀で、未亡人のマージョリー(シャーリー・マクレーン)に出会う。彼女は、夫の莫大な財産を相続した町一番の大金持ちだったが、高慢で嫉妬深い性格が災いし、町一番の嫌われ者でもあった。

そんな彼女にも分け隔てなく接したことで気に入られたバーニーは、葬儀屋の仕事を辞め、専属のマネージャーとして働くことになる。すると、独占欲なのか嫉妬心なのか、マージョリーは次第に彼を執拗なまでに束縛していく。それに耐えきれなくなったバーニーは、ついに彼女を殺してしまった!

このような事件が自分の住んでいる町で起こったら、住民は「まさか彼が……」とか「彼ならやると思ったよ」と取材に応えるのがお決まりのパターンだろう。しかし、住民たちの反応は意外なものだった。なんと、殺人犯であるはずのバーニーを誰もが擁護したのだ。

本物の住民たちがノリノリでぶっちゃける
本作には、所々に本物の住民たちのインタビューが織り交ざっている。そしてこの住民たち、非常にノリノリでぶっちゃけ話をしているのだ。殺人犯であるはずのバーニーには「あいつは最高にいい奴だ」、亡くなったマージョリーに対しては「イヤな女よ」と、その歯に衣着せぬ物言いの数々は、もはや聴いていて清々しい。

中には俳優に混じって演技をこなす住民もいて、誰が俳優で、誰が本物の住民なのか分からなくなってしまうほど。エンドロールでは、本物の住民たちも映像付きで紹介されるので、本編が終わってもすぐ席を立たずに確認してほしい。

歌って踊れるコメディ俳優ジャック・ブラック、真面目な役でも溢れ出る魅力
主演のジャック・ブラックは多くのコメディ映画に出演している。「ジャック・ブラックの映画」と聞けば、知っている人ならまずコメディ映画を連想するほど、ひとつのジャンルとして確立されているのだ。

そんな彼の代表作といえば『スクール・オブ・ロック』だろう(余談だが、筆者は『ハイ・フィデリティ』が一番好きだ)。実はこの映画は、本作の監督であるリチャード・リンクレイターと初めてコンビを組んだ作品でもある。自らギターを弾き、オーバーアクションで動き回り、そしてロックを歌いまくるジャック・ブラックの存在感は衝撃的だった。

今回演じた役は正反対に物腰の柔らかい性格で、激しく動く演技はないし、ましてやロックを熱唱することもない。それでも彼の一挙手一投足は、不思議と目で追ってしまう魅力があるのだ。

もし、ジャック・ブラックが出演している作品を一つも見たことがないという場合は、ぜひ下にある『スクール・オブ・ロック』の予告編を見てから、本作の予告編を見てほしい。
(エキサイトニュース編集部 佐藤)



『スクール・オブ・ロック』予告編
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『バーニー/みんなが愛した殺人者』予告編
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