欧州の中でも特に日本への関心が高いフランス。ここは日本産ウイスキーにとって得意先の一つだ。財務省貿易統計によれば、2012年の日本産ウイスキー輸出額はフランスがもっとも高い。パリ市中の小売店でも、日本産ウイスキーをよく見かける。
パリ市内で日本産の酒を多く扱うバーの経営者によれば、日本産ウイスキーの認知とともに、ハイボールの”新しさ”に関心を示す人もいるという。近年のフランスは、夏に気温が高くなることが多い。そのような時期になると、爽やかさを感じるハイボールに興味を示す客もいるそうだ。
次に聞いたのは、ウイスキーの本場英国。ここでも日本産ウイスキーの評価は高まっている。
多くのウイスキー蒸留所が集まるスコットランド、スペイサイドにあるバーで同様の質問をしたところ、注文を受ければ作るが、好まれる飲み方ではないという返答だった。もちろん、日本にハイボールという飲み方があるのは知っているし、日本メーカーの努力でハイボールが再び人気になったことも知っている。同バーでは多くの日本産ウイスキーも扱う。しかしスコットランドでは、ハイボールでウイスキーを飲む人はいないだろうということだった。
ウイスキーの中でも繊細な香りを楽しむシングルモルトは、香りを損なわないよう、ストレートかほんの少量の水を加えるのが本来の飲み方である。本場でもハイボールの存在は一部で知られてはいるものの、やはり主流にはならないようだ。
(加藤亨延)