改めて考えてみると、今の中学1年生は、2001年/2002年生まれ! 2001年といえば、WindowsXPやiPodが登場した年だ。彼らが物心つく頃には、TwitterもFacebookも、ニコニコ動画(以下:ニコ動)もyoutubeも周りにあったことになる。
そんな情報社会で育ってきた彼らは、どんな未来を創造していくのだろう? ヒントになりそうなイベントを取材してきた。

■若いうちはいろいろなことを"知る"べし
大手予備校の早稲田塾は、4月13日、「niconico」で知られる株式会社ドワンゴの園野淳一さんと、『Software Design』などを出版する株式会社技術評論社の馮(フォン)富久さんを招いての特別公開授業を行った。テーマは「ウエブメディアの未来を探る」。

この公開授業には、中高生合わせて100名以上が参加した。参加者のなかには、「将来、IT業界で起業したい。知見を広げたかったので参加した」という高校生や、「よく見ているサイトやサービスの仕組みが気になって。
ネットのことをもっと勉強したい」という中学生も。ウェブ業界で活躍している方たちが、こうした講演を塾や予備校ですることは珍しく、参加者も興味津々のようだ。

なかでも参加者の目がキラっと光ったのは、園野さんの話が、「歌い手(ニコ動の"歌ってみた"に動画を投稿する人)」・「踊り手(ニコ動の"踊ってみた"に動画を投稿する人)」に及んだ時だ。それもそのはず。ニコ動は、中高生の間で爆発的な人気を誇るウェブサービスであり、歌い手/踊り手は特に人気が高いコンテンツ。
ドワンゴでは、そういったネット上で活動するクリエイターに対し、人気度に応じて奨励金を出して支援していく制度があるそう。
よく知らない人からは"趣味"で一掃されてしまうようなことでも、それで食べていくことができれば立派な"仕事"だ。

園野さんは、若いうちに色々なものに触れて、これ楽しいかも、これって仕事にもなるんだ、と知ることがいかに大切かを経験を交えて語った。

早稲田塾でも、「知る機会」を重要視しているようで、これまでにも、慶応義塾大学の竹中平蔵教授や、ジャーナリストの池上彰さん、直木賞作家の浅田次郎さん、コピーライターの糸井重里さんなど、各界有識者の特別公開授業や直接指導するようなプログラムを多数展開してきている。見聞きして知ることで、目的意識がより明確になり、その目的への第一ステップとして例えば、美大を目指したり、自分の学びたい分野に強い大学を目指したりと、現役合格への情熱も育まれるようだ。

参加者のなかには、ツイキャス(TwitCasting:簡単にライブ配信を行なえるウェブサービス)やVine(6秒間の動画を撮影/投稿できるウェブサービス)を利用している人も多かった。園野さんから、それはもう「クリエイターに一歩踏み入っているようなものだよ」と言われ、参加者の一部は、ハッと気づくことがあったようだった。


■ウェブの未来ってどうなる?
ディスカッションタイムでは、鋭い質問や意見が次々と出た。さすが、今の中高生はネットリテラシーが高い!
話題のSTAP細胞論文の捏造問題の話題から、簡単に"コピペ(コピーアンドペースト)"できる状態をどう見るかさらに、Facebookのいいね!やTwitterのリツイートなどで、どんどんと情報が拡散され、氾濫している現状についてどう感じるか、馮さんは言及。SNSの普及で、だれもが"ツッコミ役""いじり役"になれる一方で、"ボケ役"、つまりコンテンツを作る側の環境はあまり良くなっていない。新しいものは即、叩く(誹謗中傷する)のではなく、良いものは良いといえるようになれば、よりネットのコンテンツも発展するのでは、と未来の展望が語られた。

この様子はニコニコ生放送で中継されており、「確かにそう思う!」・「2chまとめサイトについて聞きたい」などといった、意見や感想がコメントとして流れてきて、それらを拾って現場も盛り上がった。ウェブメディアの未来を探るというテーマにふさわしく、かなりインタラクティブでイマドキなものとなった。


今夏、早稲田塾では、高校生向けのITに特化したプログラムを公開予定とのこと。内容は、この公開授業のアンケートや質問事項などを元に柔軟にアレンジしていくそうだ。ウェブの未来は彼らの未来でもある。ネットライターがもっと評価される社会を作ってくれるとうれしいなぁ(笑)。