「寝る前にパッと熱い風呂に入るのが、至福のひととき」という人は少なくないはず。特にどんどん寒くなるこれからの季節は、なおさらだ。


だが、困るのは、せっかく心地よくウトウトしつつあるときでも、風呂に入ると、目が全開バリバリに覚めてしまうこと。この問題、いったいどうしたら良いのだろうか。ロフテー快眠スタジオの睡眠改善インストラクター・矢部亜由美さんに聞いた。

「お風呂にはリラックス効果がありますが、寝る直前に熱いお風呂に入るのは、快眠の妨げになってしまうことがあります。理由は、睡眠と体温には深い関係があるからです」
体温は朝方から上昇し始め、夕方から夜にかけて最も高くなるリズムがあり、体温が下がるときに眠気を感じるそう。
「40℃以下のぬるめのお風呂で体を温めると、その後、自然に体温が下がりやすくなり、寝つきやすくなるのですが、熱いお風呂の場合は体温が上がりすぎ、お風呂を出てからもなかなか下がらなくなってしまいます」(矢部さん)

さらに、ぬるい風呂はリラックスさせ、副交感神経を優位にするのに対し、熱い風呂は交感神経を優位にしてしまい、覚醒してしまうこともあるそうだ。


それでも、熱いお風呂が大好きな人は、どうしたら?
「晩ご飯の前にお風呂に入るなど、入浴時間と床につく時間の間をあけると良いと思います」

お風呂の温度問題は解決できるとして、もう一つの問題は、「お風呂上がり」だ。特に女性は、風呂上がりに化粧水をつけたり、髪をドライヤーで乾かしたり、本当になんかもう、つくづく、すんごい面倒臭い……。自分など、男性とあまり変わらない短髪にもかかわらず、ときどき「坊主にしたら、人生にどれだけゆとりができるか」と思うことすらある(※実際、日々意味のない時間を大量に浪費しているわけだが)。
「せっかくお風呂でリラックスしたのに、お風呂上がりにしなければいけない作業で目が覚めてしまうことは、確かにありますよね。そこは、お風呂で上がった体温が自然に下がっていく間にやる“ルーティン作業”であり、 “入眠儀式”と考えると良いかと思います」
「入眠儀式」とは、「寝る前に決まって同じことをすることで、寝つきがよくなる習慣行動」のこと。たとえば、「トイレに行く」「歯を磨く」「布団の中で本を読む」「音楽を聴く」「ストレッチをする」など、寝る前に毎日同じことをするのを習慣化することで、条件反射的に眠くなるというものだ。

同じ風呂上がりの作業でも、「あー毎日、髪を乾かすのが本当に面倒臭い(怒)」とイライラし続け、覚醒してしまうよりも、「お風呂でリラックス→髪を乾かしたり、化粧水をつけたりしている間に体温が下がっていき、ちょうど良い状態でお布団に行く儀式」と考えることができれば、寝付きも変わるかも?

そもそもお風呂でせっかくリラックスした気持ちを、髪を乾かしながらぶち壊すのは、バカバカしいことですもんね……。反省。
(田幸和歌子)