ゾウの鼻がどういう仕組みになっているかご存知だろうか? ゾウの鼻先部分(指のように少しとがっているところ)は私たちの鼻の頭に相当し、ゾウの鼻先の下の部分は我々の上唇の先に相当するのだそう。「よく悪ガキが鉛筆を鼻の下に挟んでふざけるが、ゾウ鼻の使い方はそれと同じ原理。」という。
「すごい動物学」(永岡書店)の中で解説されている内容である。

動物の生態をおもしろく解説


ゾウの鼻毛はどうなっているのか解説「すごい動物学」

先日、12月23日公開の壮大なネイチャードキュメンタリー映画「シーズンズ 2万年の地球旅行」のアフレコ会見でMCを務めていた際、日本語監修の新宅広二さんから、著書の「すごい動物学」を紹介いただいた。同書ではゾウをはじめ様々な動物の生態を新宅さんが独自の目線で面白おかしく解説してくれている。

ゾウが水を飲むときは、鼻をストローのようにして吸って飲むのではなく、鼻にためた水を口に持っていって、それを吸って飲んでいるのだとか。へぇ~へぇ~へぇ~、言われて見ればそんな仕草見たことあるかも。ほかにもゾウの鼻技テクニックが多数紹介され、「じゃぁ、ゾウの鼻毛はどうなっていると思いますか?」という問いもある。あの長くて大きな鼻の中は果たしてどうなっているのか? その答えは、読んでみてのお楽しみ。

ゾウの鼻毛はどうなっているのか解説「すごい動物学」

「すごい動物学」を読むとゴリラに対するイメージも覆される。"ゴリラ"と聞くと、大きくて黒い動物、獰猛で怖いetc…映画「キングコング」を思い出す人もいるだろう。ゴリラは19世紀には、怪力で凶暴極まりないモンスターとしてその名が伝わり、映画「キングコング」さながらに議論が起こり、追い込まれ大量捕獲されたこともあったそう。だが実際のゴリラは、人間と喉の構造が異なるために言葉を話すことはできず、うなり声のような音しか出せないが、手話を教えれば少なくとも2000語程度を使いこなして、人間と会話できるようになるのだそう(!)。ジャイアンみたいな性格なのかと思いきや、繊細で好きな相手の目を見ることができずとってもシャイな動物なんですって、きゅーん。

ちょっとした人間の仕草にも動物としての特徴


ゾウの鼻毛はどうなっているのか解説「すごい動物学」
著者の新宅広二さんは、生態科学研究機構理事長、テレビや映画などの監修なども数多く手がける動物行動学の専門家。本書は歌手のMISIAさんもお気に入りだそう。

同書の中には、パンダ、イヌ、ネコ、ライオン、ヘビ、ナマズ、カラス、ハチ等、ありとあらゆる動物達が登場するが、最後の章は我々"ヒト"が主人公。


私たち人間は、スマホで会話をしたり、車や電車に乗り、電子レンジで料理をチンしたり、原始的、動物的生活からはほど遠い毎日を送っているが、実はちょっとした仕草にも太古の動物の特徴が出ているのだという。

たとえば、初めてのデートで、好きな相手が来ると思わず髪の毛をいじってしまったり、男子ならバッチリ決めてきた前髪のセットを確認して直したり。これは動物の葛藤状態でまったく別の行動とすり替える転移活動と一緒で、哺乳類や鳥類の求愛行動の一連の流れでよく見られるそう。筆者も経験のあるこのケース「ヒトとしての身だしなみを、、」と思っていたが、思いっきり野生動物そのものだった。

他にも、動物対抗フルマラソン大会を開催したら、ヒト以外に42.195キロ走れる動物はいるのか? といった疑問にも答えてくれている。正直に書くと、ネコ以外にあまり動物に興味のない筆者であったが、この本は難しい言葉を使わず、わかりやすい。
しかもユーモアたっぷりに書かれているので最後までがあっという間。

これからパーティや年末年始で様々な年齢層の方々とお会いする時期、映画や音楽は観ていないとそれ以上話を発展させるのは難しいが、誰もが知っている動物のこんな楽しいエピソードならきっと盛り上がるに違いない。そして、何よりも動物たちが愛しく思え、教えてもらえる事もいっぱい。過酷な状況の中、必死で生きる彼らを思わずハグしたい気持ちに駆られてしまった(おそらく噛みつかれる)。今、私たちに必要なのは、人生をサバイブする人間力ではなく動物力なのかも。
(mic)