英国のスーパーマーケットでは、手軽に日本食を作れるレシピキットが売られている。前回の記事で試してみたように、大手小売店ウェイトローズのカツカレーは、それなりに日本のものを再現できていた。
今回、挑戦してみたのは同シリーズの焼きそば。3.99ポンド(約617円)。どこまで日本の味を作れるのか? 

英スーパーで買った「焼きそば」が、そば粉入りだった謎


そば粉を使った焼きそば!?


レシピキットに付属している材料は乾麺、焼きそばソース、干しシイタケの3つ。まず気になったのが麺。言葉の上で「焼きそば」は「焼いたそば」のことだけど、パッケージ内の麺は黒っぽい。「焼きそばのそば」ではなく「そば粉を使ったそば」を使っているのでは……。成分表示を見たら小麦粉49%、そば粉49%。そばじゃないですか! 

英スーパーで買った「焼きそば」が、そば粉入りだった謎


パッケージの解説には「日本と中国のスタイルから着想を得た」と書かれていた。つまり「日本の焼きそば」を完全に再現しようとしたわけではないようだ。といっても、これは一体どんな味なのか……。作る前から疑心暗鬼になっていては先入観が邪魔をして公平な判断を下せなくなる。とにかく突っ込むのはぐっと我慢し、まずは作ることにした。

提案レシピはエビ焼きそばかチキン焼きそば


今回、別途購入しなければならないのは、焼きそばで主となる具だ。レシピには「エビか鶏肉を加える」とあったので、鶏肉を用意した(じつは私、エビが嫌いなのです……)。


レシピは次の通り。干しシイタケをボウルに入れ、そこにお湯を加えてシイタケを戻す。しばらく置いたら、お湯を捨てて水気を切る。「シイタケの旨味がもったいない」と思いつつも、これまた我慢して記載された指示通りに作っていく。

シイタケを戻したら、次は麺だ。塩を加えて沸騰させた鍋に乾麺を入れて、硬めに4~5分ゆでる。ゆで終わったらお湯を切りボウルに移し、少量のオイルを混ぜて麺が引っ付くのを防ぐ。麺の用意が整えば、スライスしたタマネギと薄く切った鶏肉を、少量のオイルで炒める。そこにゆでた麺と戻したシイタケを加え、最後に焼きそばソースをからめつつ、しばらく火を通せば、できあがりだ。

英スーパーで買った「焼きそば」が、そば粉入りだった謎


これは焼きそばなのだろうか?


食べてみる。味は……焼きそばと言われれば焼きそばだけど、ちょっと違うかも。そば粉を使った麺は、麺自体に少し味が付いていて、日本の焼きそばのような、ソースをからめた時の香ばしい風味を少し感じさせた。
一方で焼きそばソース自体は日本のようなものではなく、米酢がベースの甘酸っぱさが強いもの。色々おかしい……。

料理の風味は、焼きそばソースである米酢が、かなりの割合で持っていく。そのため麺を口に入れると、すぐ酢の味と香りが強く主張してくる。味も濃い。ただ「味が強すぎてお腹いっぱい」とは思うものの、麺が口内から食道に抜け出すと、後味はちょうど良くなって「次も食べてみるか」と感じてしまう。これを繰り返しつつ食べる。ビールなどお酒を飲みながらだと良いのかもしれない。しかし正直なところ、調理に使うソースは本来の3分の2くらいで十分だと思った。

結論を言うと、これは日本の焼きそばから少し離れた商品だ。ただ「焼きそば」という意識を捨てて食べれば、こういう料理もあるのかなという印象である。カツカレーが合格点だっただけに、日本のものを期待していた分、個人的には少々残念。
英国ナイズされた一品だった。
(加藤亨延)
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