歌舞伎町の野ネズミ捕食しサバイバル生活 "本家"と同日「24時間」のカオスな生配信

8月27日~28日にかけて放送される『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)。さてこの同じ2日間、本家をしのぐ感動を味わえるビッグイベントが開かれるのをご存知だろうか?

場所は新宿・歌舞伎町。
ホストにキャバ嬢、社会学者にジャーナリスト、AV嬢に風俗嬢などなどカオスな街にゆかりの面々およそ50名が、不夜城を舞台に24時間暴れまくるというものだ。そんな猛者たちを束ねる総合司会は、「見えない世界の案内人」との異名を持ち、ネット上でレギュラー番組のMCも務める"全盲"の男性、通称「ハジくん」。24時間ぶっ通しで、気力、体力の限界に挑むという。

ゴールデン街のチャリティイベント


歌舞伎町の野ネズミ捕食しサバイバル生活 "本家"と同日「24時間」のカオスな生配信
手塚マキさん

そんなイベントの詳細を、発起人である手塚マキさん(38)に話を聞いてみた。この方、かつては歌舞伎町のカリスマホストとして鳴らし、現在はホストクラブ4軒、ゴールデン街でバーを3軒などを経営する立派な実業家。そんな彼がこのチャリティイベントを立ち上げた裏には、歌舞伎町、そしてゴールデン街への深い「愛」が隠されていたのだ。それはのちほどとして、まずはイベントの正式タイトルから。


「『24時間TOCACOCAN(トウカコウカン)TV』がイベントタイトルです。この"トウカコウカン"とは歌舞伎町の一角にある、インターネット配信専用スタジオの名前。読んで字のごとく"等価交換"をさします。もともとそこに、パチンコメーカーが店の換金所を造ろうと工事を進めていたのですが、その計画が頓挫。そこで1年前に私が手を挙げて、これまで、歌舞伎町に生きる多くの人々が自由に思いを語るスタジオとして使ってきました。ちなみに室内に人がいないときも定点カメラが常に外の新宿を映しています。
今回はそこを拠点に、さまざまな企画に挑みます」

その企画とは? 手塚さんが続ける。
「例えば『24時間サバイバル』。これは昆虫を食べて生活していることで今話題を集めている慶応ボーイ、通称『地球少年』が、歌舞伎町を這いずり回る野ネズミなどを捕食して一昼夜まさにサバイバル生活を送るというもの。寝る場所も野宿です。また『24時間マラソン』は、美術の専門学校「美学校」(神保町)の女子学生が"いかにスポーツが無意味かを証明するため"に敢えて、TOCACOCANスタジオと、ゴールデン街のバーをひたすら往復しながら走り、100キロを完走するというもの。また『24時間睡眠』は同じ「美学校」の男子学生が、眠らない街新宿でひたすら眠るというチャレンジ。
ちなみに彼はこの夏の暑い中、スタジオの外で寝続けるそうですが、イベントが終わる28日夜8時には、彼を『起こして終わる』形になります」
それにしても、こんなチャレンジングな企画をタイムスケジュール通りに進められるのだろうか?
「いやあ、そこがまったく読めないんですよ。今回、主旨に賛同してくれたメンバーに何をやりたいかを募り、ほんの1週間程度で24時間を埋めていったんです。ですから実際構成どおり進むかどうかわかりません」とのこと。

このイベントのもようはリアルタイムでネットで見られるが、歌舞伎町へ行けば生で「観覧」できるので足を運んでほしい。

ゴールデン街の火災がイベントきっかけ


さて、先ほど「主旨に賛同してくれた」というお話があったが、どうしてこのイベントを開こうと?

「直接のきっかけは今年の4月、ゴールデン街で起きた火災。ゴールデン街も歌舞伎町と同じように愛着がある地域。
実際にあの日、燃え盛る火とともに崩れていく店、そしてそれをただ見ているしかない店主たちの姿も目の当たりにしました。そんな火災で罹災した方、そしてこの文化遺産ゴールデン街のために何かできないかと思ったのです」

またTOCACOCANのスタジオは1年限定という約束で借りていたものだとか。この9月末にビルの建て替えのため閉鎖されてしまうが、そんなスタジオ運営に非常に協力してくれたゴールデン街の皆さんに対する恩返しの気持ちも、今回、イベントを考える契機になったという。

手塚さんにとって、ホストの世界に飛び込んだ20年前は単に「働く町」としか感じなかった新宿。10年ほど前に会社を興し、従業員を雇ってから「自分が生きる町」へと意識が変わったのだとか。「ゴールデン街だけというわけではなく、新宿全体の感謝の気持ちも示したいんです」。
すでに、愛は、本家を越えているのかもしれない。

さてこのイベント、くしくもその"本家"と開催日が同じだが?
「新宿ゴールデン街の恒例イベント『納涼感謝祭』が毎年8月末の日曜日に開かれているので、それにちょうど合わせただけです。でもあとになって『24時間テレビ』と同じ日であることが分かり、それなら僕らも24時間がんばるしかないと、腹をくくりました」。グランドフィナーレはもちろん、「サライ」涙の大合唱だという。

さあ、この同日開催の直接対決。あなたはどっちのイベントに行く?見る?
TOCACOCANスタジオ 新宿区歌舞伎町1-19-3 1F