カンヌ映画祭の期間中、現地の物価はどれくらい高いのか?

5月17日にカンヌ国際映画祭が開幕した。第70回という節目の年となった今回、コンペティション部門に河瀬直美監督の『光』、「ある視点」部門に黒沢清監督の『散歩する侵略者』、コンペ外部門に三池崇史監督の『無限の住人』と、日本人監督の作品もいくつか招待されている。


ベルリン、ベネチアと並び世界3大映画祭の1つであるカンヌは、各国映画関係者にとって重要なイベントだ。現地メディアによれば、映画祭には約4万5000人の参加登録があり、そのうちメディアは約4500人に上るという。それはカンヌで商売を営む人や会社にとっても、1年に1度の稼ぎどき。というのも映画祭の時期は、人口約7万人の南仏の町に観光客など含め約20万人が集まり、人口は3倍に膨れ上がるからだ。

映画祭期間中、現地は実際どれくらいの物価なのか? 

ホテルは約3倍の値段に


2週間にわたって開かれる映画祭の期間中、ホテルの宿泊価格がもっとも値上がりするのが、前半1週間だ。
カンヌ映画祭の期間中、現地の物価はどれくらい高いのか?

ドイツの旅行比較サイト運営会社Holiduによれば、開幕後前半1週間のカンヌの宿泊価格は、閉幕後の1週と比べて68%が上がり、1施設1泊当たりの平均宿泊価格は446ユーロ(約5万5000円)だった。一方で、後半1週間の上昇割合は46%、平均宿泊価格も1泊256ユーロ(約3万2000円)と、前半に比べれば下がる。
そして閉幕後の週は平均1泊144ユーロ(約1万8000円)に落ち着く。

民泊仲介サイトや売買などを扱った仏クラシファイドサイトで、短期在在の部屋を探すこともできるが、それでも普段と比べれば高い。

どれくらいの予算でご飯を食べられるのか


食費についてはホテル価格のようなことはない。ただし、それでも他と比べてカンヌ市内中心部の物価は、リゾート地であるため高めだ。

街の物価をざっと見渡すと、コーヒー(エスプレッソ)1杯が2ユーロ(約220円)前後、サンドイッチ(バゲットに具を挟んだもの)1本が5ユーロ(約620円)前後、日替わりランチが15ユーロ以上20ユーロ未満くらい(約1900〜2500円)。コーヒーなどはパリより安いが、全体的には同じ価格かそれ以上の価格で出している店が多く、中心部については「この味と内容でこの値段……」と感じる店がちらほらある。

カンヌ映画祭の期間中、現地の物価はどれくらい高いのか?

普段使いできる店ではなく、浜辺沿いに建つ高級ホテルに付属するカフェやレストランの価格は、もちろんそれ以上する。たとえば5つ星の高級ホテル、ホテル・バリエール・ル・マジェスティック・カンヌ内にあるレストランの場合、コーヒー(エスプレッソ)1杯が8ユーロ(約1000円)、シャンパン1杯21ユーロ(約2600円)、パスタも1皿21ユーロ(約2600円)という価格設定だ。

カンヌは南仏を代表するリゾート地。そのため元から物価は高めだが、そこに映画祭時のホテル価格の高騰が加わって、この時期は訪れる人の懐にとっては、あまり優しくない場所だ。
(加藤亨延)