
パリのナチュリスト(ヌーディスト)たちの願いが、かなうことになった。8月31日から10月15日、8時から19時30分までという期間と時間で、パリ市はナチュリストのためのエリアを、市内東部に広がる公園「バンセンヌの森」に設けた。
今までパリでは、週3日、夜の時間帯をナチュリスト向けに解放する公共プールはあったが、今回のように公園の一部で許可を出す試みは初だ。
パリ市との1年におよぶ交渉で勝ち取った許可
このパリのナチュリストにとっての歴史的な日に「昨年9月から1年間パリ市と交渉してきた。すごく、うれしい」と語ってくれたのが、パリ・ナチュリスト協会会長のローレンス・ルフトさんだ。同協会は1953年に設立され、現在363人の会員を抱えるパリにおけるナチュリストの集まりである。

パリ・ナチュリスト協会は、会員数ではフランス国内の他地域のナチュリスト協会と比べて多いものの、自前の活動拠点を持たない。一方で、例えばパリ郊外にある協会は、会員数ではパリに及ばないものの、協会としてプールやコテージがついた広い敷地を持っており、その中で活動できる。そのため今回の許可は、施設を持たないパリ・ナチュリスト協会にとって悲願だった。
パリ市との交渉で特に難しかったのが、公園内の規定を変えること。そして、バンセンヌの森の近くに住む住民との合意形成だったという。そして今回の許可をきっかけに、来年以降も可能であれば今回よりさらに長い日程と時間で行なっていきたいと考えている。
普段は若者や女性、ときどき日本人の参加も
解禁初日の参加者は10人後半。

しかし、若者や女性の参加者がいるとはいっても、多いわけではない。「3、4年前まで参加者の年齢層の高さは、私たちの協会にとって深刻な悩みだった」とルフトさんは回顧する。年齢層が高いということは、ナチュリスム活動を担っていく次の世代がいないということ。2年前からは、若者や女性の参加者が増えたそうだが、それまでは協会の将来に危機感を募らせていた。
日本人の参加者もいるそうだ。パリに住んでいる人のほか、出張でパリに来るビジネスマンが、活動に参加することがあるという。「そもそも日本人もナチュリスト。銭湯や温泉に(基本水着を着用するフランスと違い)全裸で入っている。実際、何もつけないほうが気持ちいいし、自然だ」とルフトさんは笑う。

「ナチュリストとは自由。
何をもって自分の存在意義を確かめるかは人それぞれだが、今回の市の許可により、パリにまた1つ新しい選択肢が増えたことは確かだ。
(加藤亨延)